-まずはご挨拶
まず最初に、一連の流れにご協力いただいた方々へ改めてお礼申し上げます。
結果は皆さんもご存知のとおり、NEXONとの契約終了、日本語ローカライズ終了、日本人GM存続という形になりました。請願が今回の決定にどのような影響を及ぼしたかは分かりませんが、日本人コミュニティにとって良いとも悪いとも言える結果だと思います。
しかし、国内外から300以上の署名を集め、日本人の存在を少しでも訴えることができたのは一重に皆さんのおかげです。請願の趣旨に賛成か否かを問わず、少しでもこの問題に関心を持ってくださった全ての方々に感謝します。本当にありがとうございました。
-アフタートーク
少し肩の力を抜き、いくつかよもやま話を披露して今回の請願を締めくくりたいと思います。
今後について有益なことが書かれているわけでもありませんので、興味のある方だけお読みください。
・日本語サービスの過去
少々延期されながらも、ローカライズ環境の再構築によって日本語化が実現したのがちょうど5年前、2012年3月のことでした。日本語化構想を立ち上げたのが2007年、一旦中断して再始動したのが2009年。実に5年越しの大計画です。
日本語化当初はNEXONもクライアント配布イベントを実施したり、ドスパラとコラボして特典付きゲーミングPCを発売してみたりと、大不評を背負いながらそれなりに頑張っていました。
しかし、1年後の2013年夏に行われた「EVE2ヶ月生活」が黒歴史化し、続く配信企画も鳴かず飛ばずに終わると、ぽつりぽつりと更新される「日本公式twitterアカウント」を残して沈黙してしまいました。
(日本語公式サイトの未更新問題でしばしばNEXONが批判されますが、最後の更新となったルビコン前後で後述する事態が起きていたことを考えると、CCPが日本市場を見限り情報供給を止めた可能性が高いのではないかと個人的には考えています。もちろん、掲載内容にまったく注意を払っていないなど、NEXONにも批判されるべき点は多々ありますが)
一方、CCPも2014年初夏から日本語サポートの規模を縮小し始めます。
当時のCCPは経営効率化を進めており、World of Darknessの開発中止や大規模リストラ、海外オフィスの閉鎖など、必要でないと判断した部分を次々に削ぎ落としていました。ほぼ唯一の日本人コミュニティ担当スタッフだったCCP Azaleaも解雇され、経緯は不明ながら、日本語ローカライズを管理していた日本人社員も同時期にCCPを退職しています。
その後、それまで更新されていた開発者ブログからクライアント本体に至るまで、日本語ローカライズが数ヶ月にわたってほぼ完全に停止。この頃に登場したAT賞品艦ウィップテイルの説明文は日本語として意味をなしておらず、混乱の程が窺えます。
そして空白期間の後、2014年冬頃から徐々に日本人スタッフ1名+レビュー無しのローカライズ外注体制が確立され、「告白者」や「外科用メス」といった迷訳が生み出されていったようです。
・請願についてのあれこれ
請願に対して公式な反応は返ってきませんでしたが、個々のCCPスタッフから多少は反応がありました。しかし、いずれも「そういう話は知ってるけど」程度で、特に関心のあるスタッフはいないようでした。日本語公式サイトを確認すると明言してくれたCCP Falconにも何度かメールを送りましたが、結局返信はありませんでした。ファンフェストを控えた今、コミュニティ担当のCCP Falconが忙しいのは確かです。しかし愛猫や雪の写真をtweetする暇があるなら短文の一通くらい…。
また、関心を示した海外プレイヤーの大多数が請願に賛同してくれましたが、その中身はかなりバラつきがありました。「日本語サポートは維持、改善されるべき」とする全面的な賛成、「改善は難しいだろうが、維持されるべき」という部分的な同意、あるいは「どうしても日本語サポートを維持できないなら、有志ローカライズ等の代替手段を与えるべき」といった妥協点を探る提案もありました。一方で、「この規模のコミュニティのためにコストを費やすのは現実的ではない」、「英語が母語ではない国のプレイヤーがこれだけ存在するのだから、CCPに頼る以外の道があるはずだ」など、CCPの意向に同調する声があったのも確かです。客観的に見ればそれが事実ですから、やむをえないことであります。「21世紀にもなって英語が話せないのか。洞窟に帰れこの穴居人ども」等の面白い意見も頂戴しました。
・今後の日本語サポートはどうなっていく?
正直、分かりません。
より全面的なサポート廃止を示唆されたこともあるので、このまま部分的日本語化クライアント&日本人GMで続行するのか、完全廃止までの猶予期間なのか見当がつかない状態です。4月から日本語クライアントがまったく利用できなくなるのかという懸念の声も聞かれますが、それなら119.3リリースを日本語化する必要はないでしょうから、おそらく既存の日本語クライアントは使い続けることができるはずです。
ただし、今後実装される新コンテンツが日本語化されないのは言うまでもなく、既存部分も英語クライアントの修正等で少しずつ英語化されていくものと思われます。(もしかしたらミススペル修正等を切り離したローカライズデータを適用してくれるかもしれませんが、そんな手間をかけてくれそうな雰囲気ではありませんでした)
CCPは日本語サポートまで手配する余裕がないのではと心配している方もおられましたが、海外サイトによれば、2016年度の収益は昨年比30%アップの8600万ドルを記録しています。人的資源はとにかく資金的には順調のようですので、今後も安心してEVEをお楽しみください。
・ちなみに、ロシア語クライアントでは
共に改善を訴えていたロシア語クライアントでは過剰な意訳が問題となっており、「高精度XLクルーズミサイル」が「高精度ホーミング弾頭付き超大型長距離戦闘ミサイル」になったかと思えば、「指揮型駆逐艦」が「リーダー」の一言で済まされたりと、今ひとつ実プレイ感覚から離れたローカライズが続いています。「担当者はローカライズ議論スレッドから逃げ回っているのに、マイリトルポニー雑談スレッドには顔を出す。これは一体どういうことだ」とロシア人プレイヤーは怒り半分呆れ半分の様子でした。
-最後に
請願それ自体、皆さんのお力添えで可能になったことです。
故に力及ばずという表現が正しいかどうか分かりませんが、日本語サポートの維持・改善を実現できなかった点についてはお詫びしたく思います。初期の目的を達成できず、申し訳ありません。
NEXONとの関係断絶は一定のプラス効果になるでしょうし、さっそく有志ローカライズに向けて動き出した方々もいて、大変心強く思っています。今や自分は一敗地にまみれたカプセラですが、アステロイドの陰から皆様の活躍を見守らせていただきます。この度は本当にありがとうございました。
-Walter Islands