アイドニス財団とSoEが共同報告会を開催「乗組員の被害が大きく増加」
2018-09-12 17:10 スコープ、リナ・アンバー
ユーライ発-アイドニス財団とシスターズ・オブ・イブによるCONCORDへの共同報告によると、艦船が破壊されたことで死亡あるいは行方不明になった人々の推計数が大幅に増加している。
報告会は「乗組員の被害が大きく増加」した主な原因として、未知の宙域におけるカプセラ艦の破壊を挙げた。今回の分析は以前から評価対象だったアノイキス(いわゆるワームホール宙域)に加えて、カプセラのアビサル・デッドスペース初期探査で生じた犠牲者も含んでいる。
CONCORDの注意を喚起するための補足情報として、アイドニス財団は民間船の被害拡大についても懸念を示した。
「安全性の低い航路で民間船が全損する事件が増えており、特にアリディア、クーニッド、タッシュムーコン、ディボイド、ディレリック、モルデンヒースの広い地域で多発しています」
アイドニス財団はさらに、「詳細不明の失踪」に分類される艦船が昨年の3倍に急増していると指摘。海賊活動の増加やドリフター、スリーパー、トリグラヴィアンといった新たな脅威など、考えうる原因を調査するよう強く求めた。
カプセラ艦乗組員の死亡率について、SoEの広報担当であるアイティリ・クダシュは次のように説明している。
「日々ニューエデンで死んでいく非カプセラの数は、それだけでも驚くべき域に達しています。しかし、既知宙域と違って、アノイキスで…今ではアビサル・デッドスペースも加わりましたが…生存者を回収するのはほとんど不可能です。捜索救助チームにとって、アノイキスで救命艇や脱出ポッドを探し出すのは単純に難しすぎるのです。これがアビサル・デッドスペースともなれば、もはや望みはありません」
カプセラ艦の乗組員として働くことの危険性は、「安全とは言えない」職業選択として広く知られている。それでも、熟練乗組員や優秀な補助要員の需要は高く、何十億もの人々が雇用されているのが現状だ。小型のカプセラ艦は非常に少人数の乗組員しか必要としないが、大型艦になると数百人から数千人の乗組員を必要とする。
「コンピューターやドローン任せにできない部分が多すぎるんだよな。可動部とか、複雑なシステムとか」
ニューエデン各地でカプセラ艦を渡り歩き、6回の契約期間を生き抜いたベテラン船員、デヤン・メンデリはそう語る。推進システムエンジニアのメンデリは、彼が数ヶ月にわたって勤務していたオベリスク級超大型輸送艦が沈んだ際、どうやって生き延びたのかを話してくれた。
「生死を分けるのはほんの一瞬のことさ。パイロットがしっかり判断してアーマーやシールドが持ちこたえれば、皆で安堵のため息だ。でも次に聞こえてくるのは自動サイレンかもしれない。船体強度が4分の3まで低下したぞ、みんな脱出ポッドへ逃げこめってお告げ。輸送船みたいなデカい船は脱出に時間がかかるんだが、機関部やら整備場やらにいたら、もう運を天に任せるしかないわな。いや実際のところ、俺なんて運が良かっただけなのよ」
カプセラ艦の乗組員保護規定は救命艇や脱出ポッド、長期耐用サバイバルスーツなど、多くの防護措置を定めている。通商保護委員会も非常に良い条件で生命保険を提供しており、不更新バックアップクローンの利用希望者には融資も行っている。SoEはこうした取り組みを考慮しても尚、カプセラ艦乗組員の被害に対して十分な対策が講じられていないと考えている。
SoEのアイティリ・クダシュはこのような言葉で報告会を締めくくった。
「私たちSoEは未知の世界へ向かうカプセラに対し、自分の行動と乗組員の運命についてよく考えるよう促しています。カプセラは乗組員の安全を守る義務に関して、もっと厳格に責任を負うべきです。カプセラ艦に乗りこむ男女には、彼らを頼りにする家族、無事の帰りを待つ人々がいます。私たちはそうした家族たちのことを考えなければなりません。アノイキスやアビサル・デッドスペースのような未知の宙域に飛びこみ、不必要なリスクを犯すカプセラの行動に対しては、CONCORDが何らかの措置をとる必要があります」