ノゴエイハヴィ社とウィルコミ社がコメディホロドラマをめぐって衝突
2018-10-09 20:35 スコープ、アルトン・ハヴェリ
ザ・フォージ、マウラシ発-ウィルコミ社は今日、ライバル企業であるノゴエイハヴィ社の子会社、バッコモル・プロダクションズが制作した新作コメディホロドラマについて、カルダリ企業裁判所へ訴状を提出した。
「ファミリービジネス」はカルダリで人気のアゼロカイバトコ・ホロドラマに最近登場したコメディ作品で、巨大企業クラシニ社を経営する架空の名家、レコター家の富と愚かさを描いている。だが、第2シーズンが始まると、多くの批評家がウィルコミ社とクラシニ社の類似点を指摘するようになった。第1シーズンが放送された際は、ウィルコミ社を所有するセイツオダ家とレコター家が似ていることが徐々に明らかになり、そのパロディ的な性質が管理職用ソーシャルメディアネットワークで大きな話題となった。
ウィルコミ社は以前にもこのドラマを非難する声明を発表していたが、レコター家の近親相姦関係をほのめかす第2シーズンの脚本がリークされたことで、ついに法的手段がとられる結果となった。リークされた脚本を確認した人物によれば、恐ろしく厳格な家長であるイツーラン・レコターのすぐ近くで2人の家族が関係を結んでいながら、イツーランはそれにまったく気がつかないという笑いを狙った内容だった。
「メーキャップアーティストはイツーランの山羊髭がセイツオダ鋼とまったく同じ色合いになるよう、毎日1時間かけてます」
この言葉は訴状で引用された匿名の証言だ。
「染料は高価だけど、キンヌヴァ監督はリアルさに心底こだわる人なんです」
企業裁判所はノゴエイハヴィ社を標的とした訴状を頻繁に受理しており、YC118年に行われた調査では全訴状の21%を占めていた。
ウィルコミ社は自社の評判と事業が損害を負ったとして、企業裁判所に提訴した。
「GalNetで『ウィルコミ・コーポレーション』と検索したら、フィクションのクラシニ社がトップ検索結果として表示されるんですよ」
ウィルコミ社上級役員会のイカネ・ハドネイは、そう言って憤る。
「セイツオダの名で検索すると、レコター家の人間が卑猥な行為をしているイラストがヒットします。このような混同が意図して引き起こされたのではないとしても、現実に起きていることに違いはありませんし、我々の業績と評判も傷ついているのです」
バッコモル・プロダクションズの広報担当、シラ・イウィは訴状に反論し、法廷で戦うことを約束した。
「番組冒頭、視聴者は断り書きをはっきり見ているはずです。『現実の出来事や場所、生死にかかわらず実在する人物との類似点は完全に偶然です』と。私たちは番組をウィルコミ社との関係の薄い、国外の視聴者にのみ配信しています。ファミリービジネスはすごい人気作品ですから、何か混乱が起きたとしても、視聴者が今後の展開を奮って想像するだけのことですよ」
訴状はホロシリーズが確実にカルダリ国内へと逆輸入され、ウィルコミ従業員の手に渡るよう、ノゴエイハヴィ社の子会社が外部の販売業者や犯罪組織と協力しているとも申し立てている。この主張に関しては、ウィルコミ警備会社の下級士官に宛てて送られた、ファミリービジネス第1シーズンのホロリール(出演女優のサイン入り)が証拠物として提出された。
証拠物についてコメントを求められたイウィは次のように答えた。
「私たちは密輸業者やその他の犯罪者の行為にまで責任を負うことはできません。そもそも、ウィルコミ警備会社の従業員がホロリールを買うかわりに犯罪者たちを逮捕していれば、大した問題にはならないはずですよね。とはいえ、セイツオダ家の家族関係についてまったく完全に根も葉もない噂が流れていることを考えれば、彼らが敏感に反応するのは理解できます」
世界中の観客と批評家たちは、ノゴエイハヴィ社のエットル・ツイージュ・パブリッシングが「Wiyr-Kiss-Me, Ty-U-Aul-Up」という見出しでNOH-MAG誌を発売して以来、セイツオダ家の不適切な家族関係について憶測を巡らしている。この号のNOH-MAG誌は淫らな記事を掲載しており、見出しは明らかにウィルコミ社と故テュナウル・セイツオダに引っかけたものだったため、YC113年にかなりのスキャンダルを巻き起こした。なお、テュナウル・セイツオダはウィルコミ社を今日のような巨大企業へと育て上げた、セイツオダ家の家長の名である。
カルダリ企業裁判所は本件について、数週間から数ヶ月かけて審理を行うものと思われる。