ジダレズ王妃がカハー鎮撫作戦の成功を主張 「国外勢力による犠牲者数の誇張」を非難
2018-11-14 20:48 スコープ、リナ・アンバー
クーニッドプライム発-今日、ジダレズ王妃はダークアマーニュースのインタビューに応じ、カハー星系の鎮撫作戦が成功を収めたと主張した。カハー星系がデスグロー麻薬で襲撃され、奴隷の反乱が発生して以来、王妃が公の場に姿を現すのはこれが初めてだ。負傷からかなり回復した様子のジダレズ王妃は、カハー3で化学兵器テロに遭遇した際の経験を語った。
カハー問題について質問されたジダレズ王妃は、クーニッド軍が「残存していた反乱勢力の拠点をすべて制圧」したので、「もはや重大な脅威は存在しない」と主張した。さらに王妃は、今なおカハー星系で戦っているクーニッド軍兵士や、カハー鎮撫遠征軍総司令官のソシャン・ファエズ元帥に感謝の意を表し、第7アスバラ・サイバー騎士団、第19ロイヤルウーラン部隊の戦功を強調。親クーニッド派カプセラが「王国防衛のために素晴らしい働きを見せた」とも述べた。
「地上部隊の兵士たちは専門的技能と巧みな計画のもと、鎮撫作戦を遂行しました。国外の扇動者たちはこの状況から利益を得ようとして大げさなことを言っていますが、惑星上の犠牲者は最低限の数に抑えられています。せいぜい30万人。もっと少ないかもしれません。マブネン事件より少し多いですが、今回はブラッドレイダーが一度に複数の惑星を攻撃したことは覚えておいてほしいですね。それに、敵の新兵器は以前にも増して強力で、我々の労働力にとって致命的な威力をもっていたのです」
マブネン1はアマー帝国のスローンワールズ・コンステレーションに存在し、YC107年にブラッドレイダーが今回と同じような攻撃を仕掛けた惑星だ。このときは暴動と鎮圧行為によって10万人が犠牲になったと推計されている。
カハー3 [画像提供: ARCスタジオ]
スコープはジダレズ王妃が主張している犠牲者数を確認できていない。クーニッド王国は奴隷の総数について秘密主義を貫いているが、管理がいい加減な実態を隠しているだけだと指摘されており、カハー問題でも実状の把握や犠牲者数の推計を難しくする原因となっている。シスターズ・オブ・イブやケイル大学のような第三者機関はジダレズ王妃よりはるかに多くの被害を示唆し、200万から900万程度が犠牲になったのではないかと見ている。なお、この推計はカハー星系全体を対象とし、奴隷と自由民の両方を含んでいる。
ミンマターのインナーサークル代表、ケイタン・ユンは、反乱軍は化学兵器の影響ではなく自由を求めて戦ったのだと訴えている。ジダレズ王妃はこの主張を一蹴した。
「王国の民は献身的かつ平和的な精神の持ち主です。カハーの労働者が反乱のチャンスを待っていた訳がありません」
ジダレズ王妃やダークアマーニュース、アマー公共ニュースのような帝国系メディアは勝利を伝えているが、カハー星系からは散発的な戦闘が続いているとの情報が入っている。カハー3反乱勢力の残党はカハー解放軍を名乗り、鎮撫作戦に参加していた義勇部隊の脱走兵も、数は多くないものの解放軍に合流。惑星各地でゲリラ的な攻撃を繰り返している模様だ。
クーニッド3世は反乱について正式なコメントを発表していないが、女帝カティズ1世とアマーのインナーサークル代表、サーダン・ゼル・クオシュ元帥へ定期的に連絡をとっているようだ。他の五皇家も反応していないものの、ジダレズ王妃の発言について情報を整理している最中だと噂されている。
ただし、カハー星系その他の化学兵器テロについてコメントしたアマー貴族はジダレズ王妃だけではない。多くのアマー貴族が声明を発表し、ブラッドレイダーが関わった暴力行為を非難している。特にカドール、タッシュムーコン、サルム領では、一部の貴族がクーニッド王国とその対応への支持を宣言した。その一方で、アーディシャパー家やコルアゾール家につらなる貴族からは、対応が不必要なまでに残酷だと批判する声があがっている。