希少な考古学的発見、部族間対立の火種と化す
2019-01-25 20:57 スコープ、アルトン・ハヴェリ
ハガー(パター3)発-ヴェロキュオール部族と関係する考古学団体ガラール・ユー・サークルが、非常に珍しいンドカッシ保管庫を発見した。保管庫はフケレヌイ郊外に位置する農村で見つかり、ンドカッシは農場の畑の下から惑星外の研究施設へと移された。
ンドカッシは高度な技術が用いられた貯蔵容器で、一般的なものは30センチ程度の大きさがあり、「暗黒の日」として知られるアマー帝国の侵攻よりかなり前にミンマター帝国各地で使われていた。クルースアル部族の記録によれば、ンドカッシは生体物質を数百年にわたって保管することができたという。ンドカッシの技術はアマーとの接触、侵略、占領時代を含む、歴史のどこかの時点で失われてしまった。これまで発見されたンドカッシは部族の歴史的遺産として広く知られているものの、ほぼ全てが破損して機能しない状態だった。
上級考古学者のゲシラ・フレーマーによると、サークルは保管庫発見に先立ち、関連遺跡から目録データを回収。データはアマー侵攻時に受けたと思しき電磁的ダメージで激しく損傷していたが、そこから保管庫の場所やンドカッシの中身に関する情報が得られた。保管庫に貯えられたンドカッシは、ほとんどが農場周辺の騒乱によって傷つくか、開放された状態になっていたものの、無傷かつ密封状態のンドカッシも複数残されていた。フレーマーはガラール・ユー・サークルを代表し、一部を管理環境下で開封する計画があると発表している。
このニュースは国内に大きな影響力を持つ、多様性に富んだミンマター考古学界でかなりの論争を巻き起こした。惑星カルハイム中央大平原でクル・ブルートー氏族の風溜めを発見したことで有名なスカンディ・ビョクルは、ガラール・ユー・サークルの発掘行為には敬意が欠けていると非難し、ンドカッシを開封する計画についても非難した。
「アマーに侵略されるまで、あの地はブルートー部族に属していました。偉大なるクル・ブルートー氏族がもはやこの世にないとはいえ、同じ血を受け継ぐ我々がいるではありませんか。あのンドカッシはブルートーの民へ遺されたもの、すなわち我が部族のものです。ガラール・ユーはンドカッシを掘り出す前に、我々に相談さえしませんでした。彼らはこの貴重な遺物を返すべきです」
スカンディが所属するブルートー部族のイフマノアナ・サークルは、ヴェロキュオール部族のガラール・ユー・サークルと長年のライバル関係にある。ブルートー部族が定住を伝統とするのに対し、ヴェロキュオール部族は遊動的な性格を持つことから、両サークルはしばしば文化的に重要な土地の帰属をめぐって対立してきた。ガラール・ユー・サークルはスカンディからの抗議について何もコメントしていない。