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仲介手数料の変更について
2020-02-24 – By EVE Development Team

カプセラ諸君、ご機嫌よう。

EVE Onlineのマーケットシステムにおける基本原則の一つは、現実世界の経済や市場をしっかりと再現し続けることです。ゲーム内マーケットに変更を加える際は、この原則を念頭に置いて調整しています。

3月10日に仲介手数料に関するアップデートを行います。このアップデートでは、マーケット注文の作成・変更に関する仕様も変更されます。

昨年の夏、私たちは取引税と仲介手数料の引き上げを実施しました。この変更の前後におけるプレイヤーの行動を観察した結果、マーケットにさらなる変更を加えることを決定しました。変更内容については後ほど詳しく説明します。

このアップデートは健全かつ活力ある開かれたマーケットを実現し、プレイヤー間の競争を公平に保つことを目的としています。一部プレイヤーはマーケットで自動調整技術を使用する不正行為を働いており、その行為はEVEコミュニティで頻繁に取り沙汰されてきました。私たちはニューエデンからBOTを駆逐するべく、今回の変更にもBOT対策を盛り込んでいます。また、言うまでもありませんが、アップデート後のマーケットとプレイヤーの動向は注意深く観察するつもりです。

◆アップデート概要

大まかな変更内容は次のとおりです。より詳しい内容や変更理由は個別に説明します。

・ティックサイズを導入。注文を作成・変更する際の価格設定範囲を制限します。注文価格は上4桁のみ設定できます。
・アップウェルストラクチャでストラクチャ所有者が設定できる最低仲介手数料が0%から1%に改定されます。さらに、仲介手数料収入の半分がNPCに徴収されるようになり、isk吸収源が増加します。
・注文変更時の手数料を引き上げます。手数料算出の新たな要素として再注文手数料(Relist Charge)が登場。再注文手数料は通常の仲介手数料とは別に追加されます。
・信用取引スキルの効果と名称を変更します。名称は高度ブローカー関係スキル(Advanced Broker Relations)に変わり、効果は再注文手数料の軽減に置き換えられます。「エスクローを全額支払うことなく買い注文を作成できる」効果は削除されるので、今後はすべての買い注文でエスクロー全額を支払わなければなりません。

◆ティックサイズを通した注文価格の設定

変更内容: 注文価格は上4桁のみ設定できるようになります。

現在のEVEはいくらの注文であろうと0.01isk単位で価格を設定できます。この仕様を変更し、注文価格は上4桁のみ設定できるようにします。

例として100万isk前後で設定できる価格をお見せします。注文価格は最小変動単位で設定されなければならず、中間値では切り上げ・切り下げが行われます。

1,112,000、1,111,000、1,110,000、1,109,000…1,002,000、1,001,000、1,000,000、999,900、999,800、999,700

注意: 仕様変更時点で有効な既存注文は、旧仕様での注文価格を維持します。ただし、それらの注文価格を変更する場合は新ルールに従って価格を決めてもらわなければなりません。注文有効期間を考慮すると、全プレイヤーの注文に新ルールが適用されるまで最長で90日かかります。

先ほど説明したように、市場の運営方法はなるべく現実世界に近い方法を採りたいと考えています。この仕様変更も株式や商品の価格を設定する実在の方法を参考にしました。興味がある方はこちらこちらをお読みください。

◆プレイヤー運営マーケットの最低仲介手数料を引き上げ。isk吸収源を追加

変更内容: ストラクチャで支払われた仲介手数料がストラクチャ所有者とNPCで折半されるようになります。最低仲介手数料は0%から1%に引き上げられます。

アップウェルストラクチャで注文を作成したとき、仲介手数料はゲームから取り除かれずストラクチャ所有者へと支払われます。NPCステーションと比べると、手数料がコストとしてきちんと機能しているとは言い難い仕様です。ストラクチャ所有者が自分たちや友好勢力の手数料を0%に設定することも珍しくなく、注文をコスト無しで作成・変更できてしまいます。そこで、アップウェルストラクチャのマーケットに2つの変更を加えます。

・ストラクチャ所有者が設定できる最低仲介手数料が0%から1%に引き上げられます。現在1%未満に設定しているストラクチャは、この新しい最低値へ自動的に更新されます。参考までに言っておけば、NPCステーションの仲介手数料は3%~5%(スキルとスタンディングで変動)なので、ストラクチャマーケットには依然として強みがあります。
・ストラクチャ所有者の仲介手数料収入に新しい税金を課します。所有者が手数料を受け取ると、半額がただちに通商保護委員会へ支払われます。新たなisk吸収源を追加することで、ストラクチャマーケットはゲーム内経済の健全性へ積極的に貢献できますし、大規模な注文作成・更新スパムにコストを生じさせれば、サーバーとデータベースの健全性にも貢献することになります。

◆注文変更時の手数料を引き上げ

変更内容: 注文内容を変更したときに請求される手数料を増やします。信用取引スキルは高度ブローカー関係スキルに改名され、その効果も注文変更手数料の軽減に変わります。

昨年の夏、取引税と仲介手数料にいくつか調整を加えました。今回は有効な買い注文・売り注文を変更する際の手数料を引き上げます。

現仕様では注文変更に要するコストはごくわずかです。唯一の現実的な制約として、特定の注文を連続変更しようとすると5分間の待機時間が発生しますが、多くの注文スロットを持つ商売人ならそれほど気になる制約ではありません。結果的に、最適なマーケット戦略は「他プレイヤーが提示している最良条件の注文より0.01iskだけ優位な値をつける。自分の注文が最良条件ではなくなったときは、可能なかぎり早く注文内容を変更し、再び0.01iskだけ優位な値をつける」というものになります。商売人たちの戦いは、誰が最も賢明な判断を下すかというより、誰が(あるいは何が)一番長く注文を微調整しつづけるかで勝敗が決まっているのです。注文変更手数料を引き上げることで、注文内容をより熟慮し、変更回数を少なくしたプレイヤーが利益を得るようになります。従来のように全注文を次から次へと変更しているようでは、あっという間に採算がとれなくなるでしょう。マーケット利用者にとってより平等な競争の場を作り、価格設定に頭を使うプレイヤーへ利益を与えることで、BOTと戦いつづける私たちの姿勢をより鮮明にしたいと思います。

次のグラフは特定の注文が30日間でどれだけ変更されたかを示すデータです。2番目のグラフは1番目のグラフから「0回」を削除した拡大版です。

データは注文の大多数(94%)がまったく変更されていないことを示しています。これらは注文変更手数料引き上げで何ら悪影響を受けません。注文の約2%は5回以上変更されていますが、この辺りから一定の影響を受け始めます。注文のごく一部(1.3%未満)は8回以上変更され、中には何百回も変更された注文まで存在します。このような行動パターンは人間ではない可能性が非常に高いと考えざるをえません。注文変更手数料が改定されれば、こうした異常な行動をとる商売人たちは破産するだけです。

注文変更手数料を引き上げる具体的な方法として、再注文手数料を導入します。再注文手数料は新旧価格の差額ではなく、新価格にもとづいて算出されます。スキルによって再注文手数料を軽減する(ゼロにはできない)方法もあります。

◆計算式

・BRはステーションやストラクチャでキャラクターに適用される仲介手数料率です。スキルやスタンディング、その他の設定を考慮に入れてください。
・RDはキャラクターに適用される再注文割引率です。高度ブローカー関係スキルで変動します。

価格Pの新注文を作成するための手数料(アップデート前後で変更なし):
手数料 = BR * P

既存注文を変更し、価格をP1からP2へ改めるための手数料(アップデート前後で変更なし):
手数料 = max(0, BR (P2 – P1)) + (1 – RD) BR * P2

注意: どちらの場合も最低手数料として100iskが発生します。

例1:
キャラクターの仲介手数料率3%、再注文割引率60%の場合

・2,000,000iskの売り注文を作成するとき、60,000iskの手数料が発生します。
BR * 2,000,000 = 60,000

・売り注文価格を1,950,000iskに引き下げるとき、23,400iskの手数料が発生します。
0 + (1-RD) BR 1,950,000 = 23,400
(この例では差額がマイナスになるので、仲介手数料は0と考えます)

・売り注文価格を更に1,900,000iskに引き下げるとき、22,800iskの手数料が発生します。
0 + (1-RD) BR 1,900,000 = 22,800

2回の注文変更により、合計46,200iskかかりました。

例2:
キャラクターの仲介手数料率3%、再注文割引率60%の場合

・2,000,000iskの買い注文を作成するとき、60,000iskの手数料が発生します。
BR * 2,000,000 = 60,000

・買い注文価格を2,050,000iskに引き上げるとき、26,100iskの手数料が発生します。
BR (2,050,000 – 2,000,000) + (1-RD) BR * 2,050,000 = 1,500 + 24,600 = 26,100

・買い注文価格を更に2,100,000iskに引き上げるとき、26,700iskの手数料が発生します。
BR (2,100,000 – 2,050,000) + (1-RD) BR * 2,100,000 = 1,500 + 25,200 = 26,700

2回の注文変更により、合計52,800iskかかりました。

注意: 注文を変更すると有効期間がリセットされます。つまり、注文変更手数料を支払って有効期限を延長することも可能です。

◆信用取引スキルの変更

先ほど述べたように、スキルを使って注文変更手数料を減らす方法を用意しています。新しいスキルは追加しません。新規プレイヤーの負担を増やさないためにも、色々と賛否両論だった信用取引スキルを転用することにしました。

信用取引スキルは高度ブローカー関係スキルに改名されます。買い注文作成時のエスクロー金額を軽減する効果も削除され、再注文手数料を軽減する効果に置き換わります。

スキルレベルは変更前と同じレベルを維持します。信用取引スキルをトレーニングするために費やしたスキルポイントは、そのまま高度ブローカー関係スキルに移されます。

高度ブローカー関係スキルの説明は次のとおりです。

・マーケットの既存注文を新しい価格で再注文するとき、仲介コストについて交渉するスキル。標準では50%の再注文割引率が、スキルレベル上昇ごとに5%増加します。
・通商保護委員会は市場の不安定性を抑えるため、注文価格を変更する行為に再注文手数料を課しています。金額は価格変更時の注文に適用される仲介手数料にもとづいて算出されます。

・再注文にともなう仲介コストは次の2段階で算出されます。
*新価格が旧価格を上回る場合、仲介手数料率が差額に適用され、仲介手数料が算出されます。新価格が旧価格を下回る場合、仲介手数料は発生しません。
*その後、再注文割引率を適用された仲介手数料率と新価格から再注文手数料が算出されます。再注文手数料は最初に計算された仲介手数料とともに請求されます。

・マーケットで注文価格を変更して再注文するときは、上記2種類の手数料が仲介コストとなります。
・通商保護委員会は標準の再注文割引率を50%に設定しています。この割引率は高度ブローカー関係スキルが1レベル上昇するごとに5%増加し、レベル5で75%に達します。

各レベルでの再注文割引率は次のとおりです。
レベル0 50%
レベル1 55%
レベル2 60%
レベル3 65%
レベル4 70%
レベル5 75%

注意: 買い注文作成時にエスクローを減額する、信用取引スキルの従来の効果は消滅します。仕様変更時点で有効な既存注文はそのまま機能しますが、新しく作成する注文ではエスクロー全額を支払う必要があります。

◆今後について

今回のアップデートはマーケットにポジティブな影響を与え、プレイヤー間の公正な競争的取引をさらに推進します。繰り返しになりますが、私たちはEVEのあらゆる場面でBOTと戦い続けるつもりです。また、仕様変更後はマーケットとプレイヤーの動向を注意深く観察し、必要に応じてさらなる調整を加える予定です。コミュニティからのフィードバックはいつもどおり歓迎しますので、公式フォーラムの総合感想スレッドをお気軽にご利用ください。

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