EVE Onlineのエコシステムの今後
2020-03-30 – By EVE Ecosystem
豊かさは安息につながり、欠乏は戦争を呼ぶ
予測可能な収穫は産業の活気を奪う
自給自足経済は自由貿易にとって異端である
カプセラ諸君、ご機嫌よう。
すべてのプレイヤーはEVEのエコシステムに利害関係を持っています。私たちは2019年から、エコシステムの基盤を強化するために多くの力を注いできました。その結果、BOTが産出するiskが80%減少するという重要な勝利が得られました。2019年のBOT掃討作戦とほぼ同時期に、EVE Onlineの同時接続数はガクッと減少しましたが、今では完全に回復しています。ただし、今回はBOTではなく、EVEに帰ってきたベテランや最初の一歩を踏み出したばかりのルーキー達です。開発チームの大部分は新規プレイヤーの受け入れに懸命に取り組んでいます(かなりの成果があったのですが、これについては別の機会に説明します)。また、ゲームプレイの中心部分に対するアップデートを一定のリズムで矛盾なく導入する流れが確立したことで、メタゲームやゲームバランスはよりダイナミックなものとなりました。とはいえ、まだまだやるべきことは多く、今後も継続的にアップデートを重ねていかなければなりません。
今回の開発者ブログでは、EVEのエコシステムの今後について情報を共有したいと思います。
◆ 1.エコシステム調整チーム
2019年第4四半期に開発体制を再編成した際、エコシステム調整チームが設置されました。マクロ経済の観点からゲームを監視し、あらゆるバランス、コンテンツ、経済、その他エコシステムの健全性に関わる要素を調整するのが彼らの役目です。
・任務
多様かつ魅力的なチャンスに満ち、公正で活気のある遊び場をすべてのプレイヤーに提供するため、EVE Onlineのユニークなエコシステムを継続的に管制すること。
・ビジョン
リスクと報酬が分かりやすく、機械的な繰り返しにならない良質なコンテンツ。すべてのプレイヤーが不正行為に直面せず、こういったコンテンツであふれるEVEユニバースに没頭することを目指す。
・目標
*紛争を促進し、ベテランが楽しめるコンテンツを増やす
*資源とリスクの再分布を通して経済の健全性を改善し、色々なチャンスも増やす
*防止・検出・処罰によって不正行為に大きなダメージを与える
◆四半期ごとのプレイヤーアンケート
四半期ごとのアンケートでは私たちの考えに同意するかしないかを尋ね、現状に対するプレイヤーの意識を調査しています。ここではプレイヤーの優先順位が最も高かった分野と、評価が最も低かった分野を紹介しておきます。
・不正行為/濫用行為への対策(優先順位が高かった分野)
*BOT行為(アンケートで最も重大視された課題)
*0.01isk単位での自動調整ツール
*アカウントハッキング
*RMT
・機会の平等(評価が低かった分野)
*EVE Onlineではリスク/作業量と報酬のバランスがとれていない
*富と力の分配が偏っており、個人レベルやグループレベルで不平等な関係がある。富める者がますます富んでいく状態
*富、力、領土の流動性が健全ではない。「大型主力艦の傘」が威力を発揮しすぎている
*新規プレイヤーがゲームで成功を収める機会が豊富にあるとは言えない
◆ 2.エコシステムの健全性と将来予想
現在のエコシステムの健全性を評価するため、システム全体を3つに大分し、それぞれの現在の健全性(AAA、A、B、C、D)と傾向(改善、安定、悪化)を付しました。私たちがコミュニティの声に耳を傾けながら何を優先しているのか示すため、簡単な評価基準も記しました。
エコシステムの長期的な健全性がもたらす利益を目指して、この複雑で難しい状況を管理し、断固とした行動をとります。
・行動と方針
コミュニティとCSMの意見を考慮した長期ロードマップが定められました。これから数ヶ月のあいだに、以下の変更を実装していく予定です。
◆ 3.資源再分布について補足
先日アナウンスしたように、ニューエデンは資源分布バランスを見直す時期を迎えています。CSMと協議した結果、この決定がどういった理由で、どのように下されたのか説明が必要だという話になりました。先ほど述べたとおり、現在のEVE経済は持続不可能な状態にあります。私たちが求める健全な経済環境とは、プレイヤーが楽しみながら選択を下し、チャンスを見つけることができる環境です。EVE Onlineの大きな柱の一つは「損失が意味を持つ」ことですが、現状、ベテランプレイヤーにとって損失は大した意味を持っていません。
EVEの成功と、そこに住まう住民の幸福のためには、健全な経済を取り戻すことが急務なのです。
とはいえ、「健全さ」に不変の定義があるわけではないため、経済のあるべき姿を決めるのは大がかりな仕事になります。理想的な状態は参加者(プレイヤー)の数や職業(ゲームプレイ)によって常に変化します。
EVEユニバース全体の資源産出量を図で示すと、緑色がバランスのとれた(変化が穏やかな)範囲です。この範囲なら健全だと言えますが、現状はそのずっと右(産出量が多すぎる)に位置しています。
このアンバランスに対処するには、時間をかければかけるほど状況が悪化します。そこで、将来ふたたび大規模な対策が必要とされないよう、少々冒険的な計画を進めています。
計画は3つのフェーズに分かれており、各フェーズにおける目的は次のとおりです。
- 資源削減フェーズ
資源削減フェーズの主な目的は、経済を先ほどの図の「健全な状態」まで動かすことです。目標とすべき状態は揺れ動いていますが、状況を評価し、次のフェーズへ進むためのデータとツールが集まっています。 - 資源再分布フェーズ
このフェーズでは「健全な状態」の具体的な範囲が宣言され、産出量をその範囲内に留めるために必要な変更が施されます。「健全な状態」は静的なものではないので、適正範囲や関連要素を決定するため、様々な領域を考慮することになるでしょう。 - 自動分布フェーズ
資源再分布フェーズで得られたデータから、プレイヤーの収穫量やEVEユニバースの使用量にもとづいて資源分布を自動調整するシステムを構築することが可能になるでしょう。
◆ 4.不正行為対策
CCPは不正の三大行為を次のように定義しています。
・アカウントハッキング
・不正なタスク自動化(BOT行為や複数クライアントの自動操作)
・詐欺(クレジットカードの不正利用)
四半期ごとのアンケートによると、BOT行為は不正の中で最も目につきやすい行為であるため、依然として多くのプレイヤーが重要な問題だと認識しています。しかし、BOT行為だけでなくあらゆる不正行為は誠実なプレイヤーに損害を与えており、RMTで取引されるiskは上述の三大行為を通じて供給されています。したがって、全プレイヤーが力を合わせ、不正なiskを購入せず、BOT行為を容認しないようにしなければなりません。
タスクフォースが編成されてからおよそ1年が経ち、私たちはBOT行為との戦いにおいて明らかな勝利を収めています。その勝利がどのように達成されたかについては、セキュリティ上の理由から詳しくお話しできませんが、調査ツールは日に日に進歩しており、将来的に導入できるアイデアも沢山あります。CCPはBOT行為を一切容赦しないという明確な方針を掲げ、すべてのBOTを殲滅するまで戦いを止めません。
プレイヤーからの通報は昨年実装したポジティブフィードバックシステムのおかげで大成功を収めています。これは処分が確定したキャラクターを通報してくれたプレイヤーへ、お礼のメールを送信するシステムです。ただし多くの場合、24時間以内に一連の処理を完結させることはできていません。どうか通報の手を緩めないでください。私たちも1回の通報を十分な証拠としてプレイヤーを処分するわけにはいかないのです。
目に見えるBOT行為はいまだ続いていますが、ご安心ください。高価値目標を優先的に処分しつつ、組織レベルでの制圧も進める戦術をとったことで、エコシステムに対するBOT行為の影響は昨年同時期と比べて80%減少しています。この数字はBOT行為容疑者の人数と、BOT行為で生み出された富から算出しました。
また、過去1年間で何千ものアカウントを排除することに成功しました。この結果はサーバーの負荷に顕著に表れており、最も分かりやすい結果が出たのはブラックアウト期間中です。ブラックアウトはBOT利用者に致命的なダメージを与え、多くがEVE Onlineから去っていったものと思われます。それ以降、プレイヤー数は増加していますが、BOT利用者の数は減り続けています。
◆結論
開発チームは色々と変化の余地がある非常に大きな仕事に取りかかりましたが、私たちの取り組みと方針を理解する上で、今回の記事が多少なりとも助けになれば幸いです。CCPはこれらがエコシステム全体に重大な影響を与える変更であり、慎重に行動しなければならないことを理解しています。しかし、今後のアップデートは誰にとっても健全なエコシステムをもたらし、プレイヤーの選択に重要さを、そして損失に意味を持たせる展開へとつながっていくはずです。
それでは良い宇宙の旅を!