ギャラクティック・アワー ニュースダイジェスト: ナイアルジャ陥落、アマーとカルダリに衝撃走る
2020-08-19 23:59 スコープ、レト・グロリアクス
ナイアルジャ星系が陥落し、アマー帝国とカルダリ連合を直接つなぐ唯一の航路が失われた。カルダリ連合では新たな星系喪失が激しい抗議活動を呼び起こしている。「レト・グロリアクスのギャラクティック・アワー」は世界各地のニュースを要約版でお届けする。
◆ナイアルジャ陥落。アマー帝国とカルダリ連合にとって「戦略的大惨事」
アマープライム発-トリグラヴィアンがナイアルジャ星系を占領した。EDENCOMとCONCORDは有志カプセラ、EDENCOM部隊、アマー海軍の「勇敢な戦い」を褒めたたえているが、外交筋に言わせれば、この敗北はアマー・カルダリ同盟にとって「戦略的大惨事」だ。十分な防御や護衛を有する船ならナイアルジャ星系を通過することも不可能ではないものの、アマー帝国とカルダリ連合の直通航路は寸断されてしまったと言っていい。
ナイアルジャ星系自体は、隣に人口が多く開発も進んでいるバーロマブ星系が存在するため、常に二番手の地位に甘んじてきた。だが、カルダリ領カープテネン星系に通じる長距離スターゲートに適した星系として、数十年間にわたって戦略上の要衝だった。星間貿易におけるナイアルジャ星系の重要性は、サルム家が監督するエクティ・フーサ開発区に多くのガレンテ・ミンマターステーションが存在することでも裏付けられている。アマーの商品はカルダリを経由してガレンテ、さらにはミンマターにまで輸出されており、鉱業をはじめとする産業界はナイアルジャ・カープテネン航路を極めて有用だと見なしていた。
軍事的外交的には、この航路はアマーとカルダリのあいだで大量移送が可能な唯一の直通ルートだった。軍艦や外交船はサイノビーコンやジャンプブリッジ、専用ゲートなどに加えてジャンプドライブで移動することもできるが、両国にとって深刻な打撃となることに変わりはない。CONCORD紛争監視局はアマーがナイアルジャ喪失の失点を取り戻そうと、アマー・ミンマター紛争宙域で活動を倍増させる可能性があると警鐘を鳴らしている。
ユーライ協定・ユーライ合意でミンマター宙域と見なされていながら、第24次帝国十字軍やサルム家の軍事行動、親アマー派カプセラ義勇兵の継続的活動により、長期間にわたってアマーの拠点となっている星系は多い。アマー・カルダリ同盟軍が利用しうる代替ルート候補として、今後はメトロポリス地方の星系に戦略的な視線が向けられることになるだろう。
宮廷政治に詳しい人々は、ナイアルジャ喪失によってサルム家の威信が傷ついたと考えているが、同家はメトロポリス戦域での攻勢を支えているため、傷はそれほど深くならずに済んだかもしれない。皇宮特派員によれば、大小貴族のうちサルム家と親しい人々がアラハ・サルム卿の「先見の明ある」施策を称賛しはじめた一方で、その言葉を耳にした他皇家の支持者は「礼儀を失してはいないが軽蔑が見え隠れする態度」をとっている。
◆ナイアルジャの激戦…カプセラが星系各地で交戦
ドメイン、ナイアルジャ発-ナイアルジャ攻防戦ではEDENCOM支持派と親トリグラヴィアン派のカプセラが激しい戦いを繰り広げた。予備的推計によると、主な戦闘が行われた時間帯に現地で活動していたカプセラは600人以上、その他の時間帯でも500人以上が集まり、何時間にもわたって戦いつづけた。
EDENCOMと各国軍はニューエデン全域に分散しているため、トリグラヴィアンに侵略された星系の戦力バランスは、どちらかの陣営のために戦うカプセラが左右するケースが多い。ナイアルジャ星系の戦いはおよそ1日半つづき、推計40,000隻以上が破壊され、その10%程度を星系各地で戦ったカプセラ艦が占めている。
EDENCOMのカシハ・ヴァルカニール憲兵司令官は、EDENCOM支持派カプセラが「戦略的に極めて重要な星系を守るため勇敢に戦った」と謝意を表し、「この戦いに敗れはしたが、やがて文明社会が勝利し、最後にはトリグラヴィアンの脅威を打ち負かす」と約束した。インナーサークル・アマー代表のサーダン・ゼル・クオシュ元帥も、「忠勇なるカプセラと帝国海軍のたゆまぬ奮闘」を称えた。同ミンマター代表のケイタン・ユン、ガレンテ代表のデヴァン・マレートは「ナイアルジャ星系喪失に対する深い遺憾の意」を表しながらも、アマーに「EDENCOMの共闘関係を脅かすあらゆる行動を終了」するよう求めた。
ナイアルジャ星系の戦いにおけるカプセラについて、特に注目すべきはヌルセク勢力が両陣営に与して戦ったことだ。レガシー・コアリション(Legacy Coalition)はアマー・カルダリ間の安全な直通ルートを維持しようと、星系を守るEDENCOMを援護することを選んだ。
これに対し、辺境紛争のもう一方の当事者インペリウム(Imperium)はトリグラヴィアンを支援するという判断を下した。ヌルセク勢力、EDENCOM支持派、親トリグラヴィアン派のあいだで様々な主張が飛びかったが、「カイバーノーツ」とインペリウムがトリグラヴィアン陣営で戦った結果、全体的な戦力バランスは侵略側へと決定的に傾いた。
◆ツヌダン、アーティラ星系陥落。カルダリ労働者の抗議はより頻繁かつ大規模に
ニューカルダリプライム発-アマーでナイアルジャ星系をめぐる戦いが行われていた頃、カルダリではツヌダン星系、続いてアーティラ星系が陥落し、連合はさらなる騒乱と動揺に見舞われている。アマーとの直通貿易ルートが絶たれたことを受けて、中級管理職や労働者たちは経済的影響を恐れるとともに、カルダリの武運が尽きたかのような戦況そのものにも反応している。
ニューカルダリプライムの高層ビルやアーコロジーでは、公園や市場が抗議の声をあげる労働者で溢れかえっており、各企業の治安部隊は上層階や重要インフラへのアクセスを制限している。ニューカルダリプライムに巻き起こった抗議活動は首都惑星で暮らす労働者の怒りと混乱を表したものだが、カルダリ全体に視線を転じれば数えきれないほどの抗議と騒乱が起きている。
特に抗議活動が盛んなのはヒャショーダ、イシュコネ、カーラキオタ、スクーベスタ社が統治している地域で、軍と治安部隊は自制を厳命されている。だが、治安部隊の対応が強硬なことで知られるCBD、ライダイ、ノゴエイハヴィ社の統治地域でさえ、抗議活動が発生している。
代表取締委員会は2日間の緊急会合を行っている最中だ。カルダリ海軍その他の連合軍司令官らは軟禁状態に置かれているらしく、カルダリ全域に非常事態宣言がなされるのではないかと噂されている。八大企業の私有戦力である企業部隊の士官たちが、委員会直属の「カルダリ民族企業連合暫定参謀本部」として組織されたとの情報もある。
治安部隊は労働者の抗議に対して例外的な自制を見せているが、一方では裏社会の組織を襲撃し、テンプリス・ドラグナースの細胞組織と思われる集団、ガリスタス海賊団の協力者、エンジェルカルテルのために働くギャングと交戦したと報じられている。また、カルダリ海軍上層部は沈黙を守っているものの、上級前線指揮官らはEDENCOM出向部隊に施された改修を批判。一部の士官は、プロヴィストが「我ら企業連合の秩序を損なおうと」して妨害工作や破壊工作を行っているのだと主張した。
カルダリ政治の観測筋、特にガレンテ・ミンマターのメディアは、長年くすぶっていた「企業間の影の戦争」がついに公然とした争いに発展するのではないかとみている。この推測を唱える人々は、過去5年のあいだに起きた様々な事件を指摘し、カルダリ国内での企業間対立と利害再調整を根拠に挙げている。
◆速報: 科学者たちがヌルセク星系の「極めて特異な時空異常」を警告
ジェネシス、ユーライ発-CONCORDプロジェクト・ディスカバリー部門の系外惑星探査チームが予備的報告を発表し、「極めて特異な局所的時空異常」を警告している。報告によると、KBP7-G、PF-346、M-OEE8、R3-K7K星系が「不安定ワームホールの発生、トリグラヴィアン技術による時空コンジットの生成と類似点を持つ時空間トポロジー局所的変異の兆候」を示しているという。
今回の現象はガレンテとミンマターの多くの科学者に観察されているが、これはケイル大学と共和国大学が共同スポンサーになり、ニューエデン星団の時空間トポロジー変異に関する研究プロジェクトを進めているためだ。ケイル大学の天体物理学・宇宙地理学部と、共和国大学イルーイン宇宙物理学校を拠点に宇宙論を研究する部族間サークルは、これまで密接な協力関係を築いてきた。
ニューエデン各地にいる少数派の科学者たちは、超高密度なニューエデン星団に局所的に存在する時空構造が、ここ何年かでひどく乱されているという意見を展開してきた。「セイリン大災害」として知られている不安定ワームホール発生現象や、しばしば「キャロライン・スター」と呼ばれるW477-P星系での「超光速恒星現象」などにより、変異が蓄積されたというのが彼らの主張だ。主な理論家たちはキャロライン・スターの超光速現象について、超新星爆発により生じた光子エネルギーが膨大な数の超小型ワームホールを通じてニューエデン全域に拡散されたと解釈すれば説明がつくと考えている。
主流派の科学者はこうしたラジカルな意見を「わけのわからない戯言」や「間違っている・いない以前の問題」と切り捨てているものの、共同プロジェクトを進めるケイル大学・共和国大学の科学者たちは、ニューエデンで何が起こっているのか解き明かすため全ての可能性を探らなければらないと信じている。彼らの考えでは、トリグラヴィアンによる恒星操作は「ほぼ確実に星団の局所的トポロジーをさらに変異させる」、セイリン大災害、キャロライン・スターに次ぐ第三の大きな出来事である。
その他のニュース
・ベイル4からの新情報は、住民に使用されたトリグラヴィアン生体適応技術の音声・映像を記録している模様
・ベイル4現地調査チーム「トリグラヴィアンの現地住民に対する振る舞いは、高圧的だが暴力的ではない」
・ベイル人民抵抗ネットワークが「トリグラヴィアンの残虐行為を善意として塗りつぶそうとする試み」を非難
・サケンタ、ナルブラ星系調査チームは「トリグラヴィアンによる住民への介入は人命保護を目的としている可能性あり」と過去に報告
・トリグラヴィアンがフリクア星系のガレンテ主力艦造船所を襲撃。施設は大破するも艦艇被害は「軽微」
・CBD社スペースレーンパトロールがスカーコン2から相当数の兵員を引き揚げ
・カルダリ系の企業部隊、傭兵部隊がスカーコン2からカルダリへ帰還
・スカーコン星系地元当局が現地ミンマター系PMCを警察補助部隊として承認
・ナイアルジャ攻防戦に参加したサルム軍管区第3艦隊主力部隊、修理のためペニルグマン星系へ
・アラル・チャーケイド公爵が「フロセスウィン4で聖テトリモン教団特殊部隊に拘束された」との情報あり。現在の所在は不明