ギャラクティック・アワー ニュースダイジェスト: 労働組合デーの祝祭とカルダリ市民の抗議
2020-09-07 18:16 スコープ、レト・グロリアクス
トリグラヴィアンがもたらす甚大な被害にカルダリ市民が動揺する一方で、巨大企業は労働組合デーを利用して愛国心を盛り上げようと試みている。「レト・グロリアクスのギャラクティック・アワー」は世界各地のニュースを要約版でお届けする。
◆労働組合デーを迎えたカルダリ…巨大企業は本社星系にて軍事力を誇示
ニューカルダリプライム発-労働組合デーを迎えた先週末、カルダリ巨大企業の大部隊が国内各地に展開し、展示陣形で威容を示した。カルダリを支配する八大企業は治安部隊からリヴァイアサン級タイタンを中心とする戦闘群を出動させ、それぞれの本社ステーションが存在する星系に配備。その光景はカルダリ全域にむけて大々的にホロネット放送された。
巨大企業による軍事力の誇示は、労働組合デーの祭典でたびたび演出されてきた特徴的な光景である。また、代表取締委員会を構成する企業は労働組合デーの週末にかけて会合を行い、経済計画や貿易協定について協議するのが慣例となっている。しかし今年はトリグラヴィアンの侵略によって甚大な被害がでている状況を反映し、議題の大部分を安全保障問題が占めた。
首脳陣による会合とは別に、八大企業の治安部隊は毎年恒例のハードケン・サミットと軍事競技大会に参加した。カルダリ企業の私有戦力である彼らは、企業上層部による直接的な指揮監督のもとで、カルダリ海軍をはじめとする国内の軍事組織を全面的に再編している最中だ。今回の軍事競技大会はホロネット上での視聴者数記録を塗り替えることはできなかったものの、経験豊かな兵士が幅広い分野から集まって戦技を競い、ライダイ警備サービスが優勝を手にした。
労働組合デーは毎年のように愛国心や企業への忠誠心をテーマとしているが、今年の代表取締委員会と八大企業は、祖国カルダリと母なる企業への「犠牲と奉仕」がいかに必要とされているかをなんとか強調しようと苦労している。連合当局と各企業が全力を尽くしているにもかかわらず、労働組合デーの祝祭ムードは明らかに例年ほどの盛り上がりを見せていない。
◆カルダリ連合がさらに多くの星系を喪失。抗議と社会不安が増大
ニューカルダリプライム発-トリグラヴィアン相手にさらに多くの星系を失いつつあるカルダリ連合では、国内各地で大規模な抗議と政治的デモがつづいている。カルダリは既に少なからぬ数の星系を奪われているが、さらにカウノッカ、コモ、ナニ、ウルヒニチ、ワイラショダ星系が陥落し、合計16個の星系がトリグラヴィアンの完全占領下に置かれることになった。
新たな侵略によっていくつもの温暖惑星や植民地化された海洋惑星、荒地惑星がトリグラヴィアンの勢力圏に取りこまれ、多くのカルダリ市民は衝撃と恐怖を露わにしている。さらに、トリグラヴィアンが征服した星系で恒星以外のものも「収穫」しようとしているのではないかという疑惑がカルダリ全土を震撼させた結果、抗議活動はますます激しさを増し、今や明らかに暴力的な行為も起こりはじめている。
治安部隊は通常では考えられないほど慎重な対応を見せているケースがほとんどで、明らかに代表取締委員会や企業上層部から自制を厳命されている。しかし、それでもいくつかの抗議が制御しえない騒乱へと発展した。
ニューカルダリプライムでは、ノゴエイハヴィ本社ビル周辺の公園に集まった数千人のデモ隊に「パラヘイズ」ガスが使われ、7人が死亡、多数の負傷者がでた。ムボライネン8ではCBD社施設に配備されたばかりのスペースレーンパトロールが群衆解散用音響兵器を使用し、抗議に参加した数百人が入院する事態となった。代表取締委員会はこうした騒乱について、「治安部隊と企業財産に対する暴力を招いた」として「反企業的な扇動家」を非難した。
他方、企業上層部に属さない何百万もの労働者・管理職階級の人々は、対トリグラヴィアン戦におけるカルダリ海軍の働きについて不満と失望の声を隠さなくなっている。こうした企業市民の抗議の声は大きな権力を持つセイツオダ家の一員から支持を得てさえいる。
ウィルコミ・セイツオダ重工業の元CEOであるアカリ・セイツオダは、ニューカルダリプライムの隠居先で次のように話した。
「カルダリの人々が『国と企業はカルダリ文化をしっかり防衛するはずだ』と期待するのは当然のことです。明らかな犯罪的無能への抗議は理解できるだけでなく、私に言わせれば、むしろカルダリ市民として進んで果たすべき義務です」
◆スカーコン星系当局が「七大部族の完全かつ永続的な主権」を主張
モルデンヒース、スカーコン発-スカーコン星系の統治者であるクマター・クリル・イフリートが現地当局の方針について、「スカーコン星系におけるマター七大部族の完全かつ永続的な主権がわずかでも弱体化することを決して認めない」と断言した。この発言は、スカーコン2をめぐって政府系傭兵部隊とクローン兵・カプセラ連合が衝突した事件を受けてなされたものだ。
独立系観測筋によると、先週土曜日、複数のカプセラが地上部隊へ「補給」を行うためスカーコン2上空に展開した。カプセラ達は税関施設や低軌道帯まで降下させたバウヘッド級超大型輸送艦を使い、補給物資を投下しようとしたようだ。この動きに対し、セイカル遠征部隊も彼ら自身のバウヘッドを率いて現れ、輸送艦を低軌道帯まで護衛しながらカプセラ艦隊と対峙した。
まもなくセイカル艦隊にクルレファー社の艦艇が合流すると、カプセラ艦隊のナグルファー級ドレッドノートが発砲して戦いの火蓋が切られた。伝えられるところによれば、このナグルファーを操縦していたカプセラはクローン兵組織とつながりがあり、同組織はスカーコン2で反クルレファーを掲げてクルレファー社、セイカル遠征部隊、その他の地上部隊と紛争を繰り広げている。クマター政府はこのクローン兵組織を「異分子のテロリスト」と宣言し、エンジェルカルテルと結託して犯罪行為を行っていると主張している。軌道上での戦闘はカプセラ艦隊のナグルファー、セイカル艦隊の戦艦数隻が破壊されて終わった。
目撃者の証言や公的な観測データによれば、現場にはクルレファー社のフリゲート部隊も出撃し、セイカル艦隊のバウヘッド3隻は無事に惑星へと降下した。バウヘッドは柔軟な運用が可能な輸送プラットフォームであり、兵員・地上戦装備の優れた輸送手段として多くの傭兵企業や治安部隊から評価されている。スコープの軍事専門家は、セイカル遠征部隊がさらなる「都市鎮圧作戦」のため9万人もの完全装備の兵士を降下させた可能性があると推計した。
クマター・クリル・イフリートは現地当局としての立場を非常に明確に示した。
「我々は以前からはぐれ者のクローン兵は裏切者のテロリストだと言ってきた。奴らは辺境コロニーで奴隷狩りの恐怖を広めている犯罪組織、エンジェルカルテルと結託している。しかし今や、この異分子がアマーの準軍事組織と手を結んでいるという揺るぎない証拠も得た。この者たちは親アマー派として有名なカプセラと協力し、合法的な警備請負業者の人員輸送船に対して恥知らずな攻撃をくわえたのだ。また、一部のマターリ組織がアマー人の浸透を許しているということも分かった。我々はこの事実に深く注意しなければならない。『すべての侵略者に死を』という人気のスローガンがあるが、侵略者に協力する者にも同じく死を与えるべきかもしれない」
その他のニュース
・カルダリ海軍、ウルヒニチ防衛戦における主力艦部隊喪失を発表。「連合軍事学院の訓練生たちは英雄的に戦った」
・トリグラヴィアンがウルヒニチ星系の人口密集地と工業コロニーを侵略。現地では抵抗と混乱がつづく
・ナニ、ワイラショダ星系の工業コロニーからの避難活動をガリスタス海賊団が支援
・トリグラヴィアンの大部隊がコモ星系の惑星に降下。相当数の死者が危惧される状況
・カウノッカ2でトリグラヴィアンと防衛部隊の戦闘激化。ヒャショーダ社警察部隊が迎撃を率いる
・トリグラヴィアンの民間船に対する反応は「不規則かつ無関心」との評価。「最終リミナリティ」星系で避難の試みが増加
・ガレンテの研究者らはベイル、ウルヒニチ、コモ星系のような人口稠密星系を懸念。「占領下での完全な避難は極めて難しい」
・クーニッド軍事指導者のアラル・チャーケイド公爵、タヌー2の聖テトリモン教団支部に軟禁中との情報
・増大する損害に対処するためアマーが艦船建造能力を強化。軍務省は貴族に追加の戦時税を課す
・現存艦隊主義と紛争宙域での限定的な活動をめぐり、共和国コマンドは「中央地域優先」疑惑を否定
・ノラ・アショク将軍がフロセスウィン4のアマー兵捕虜が10万人に達したと発表。ビクトル・マザリ将軍は「いまだ逃亡中」