ギャラクティック・アワー ニュースダイジェスト: トリグラヴィアンがトータリティに到達
2020-10-22 16:08 スコープ、レト・グロリアクス
大変な一週間が過ぎた。スターゲートネットワークが世界各地で停止した直後、トリグラヴィアン・コレクティブの恒星操作によってニューエデンの地図が書き換えられた。「レト・グロリアクスのギャラクティック・アワー」は世界各地のニュースをお届けする。
◆CONCORD構成国はニューエデン防衛基金を通じたEDENCOM支援で一致
ジェネシス、ユーライ発-きのう、四大国代表団はユーライ星系でCONCORDインナーサークルの会合に臨み、EDENCOMへの資金提供と物的支援を継続することで合意した。今回の合意はこれまでの対トリグラヴィアン戦における施策を継続することを基本方針とし、ニューエデン防衛基金を通じた資金提供や、各国正規軍からEDENCOM司令部への戦力提供が明記されている。また、この合意は国家間の協働についても定めており、EDENCOM艦隊は多国籍軍を編成しての合同作戦が可能になる。
星間外交の観測筋は、CONCORDと各国が随時援助する形でEDENCOMが存続するだろうと予測していたが、カシハ・ヴァルカニール憲兵司令官はニューエデン共同防衛イニシアチブを常設軍として維持することの重要性を強調。ヴァルカニール司令官はEDENCOMがトリグラヴィアンのさらなる侵略に対抗し、被占領星系で構成されるリージョン「ポクヴェン」を攻撃する能力を持つことが必要不可欠だと力説した。
CONCORD関係者がスコープに語ったところによれば、各国代表団はEDENCOMが150個近い星系の防衛に成功し、トリグラヴィアンの激しい攻撃にさらされた50個以上の星系を要塞化した成果を認め、広く支持を表明したという。四大国の中ではカルダリ連合が特に大きな被害をこうむったものの、各国の指導者や当局者らはニューエデン全域がより悲惨な状態に追いこまれてもおかしくなかったと密かに安堵しているようだ。
スコープの軍事専門家の試算によると、防衛戦力がEDENCOM指揮下で連携せず、EDENCOM支持派カプセラの強力な支援も得られなかった場合、合計で81個もの星系が失われた可能性がある。トリグラヴィアンの戦略目標を分析している研究者は、敵は特定のタイミングで一斉に恒星現象を起こすことを意図するとともに、特定タイプの恒星の組み合わせを含む少なくとも21個の星系を占領することを狙っていたものとみている。
その他の研究によれば、トリグラヴィアンは27個目の星系を占領するべく最終攻勢をかけた時点で、予備戦力が計画を下回った可能性がある。この推測はクリラルド星系陥落からスターゲート停止までのあいだ侵略活動が停止していたことや、より多くのA0型恒星を支配下に収めようとする攻撃が不十分なものに終わった事実にもとづいている。
◆SCCとDEDが懸賞金プログラムの効率性を検証、インナーサークルは新たな資金分配方法とセキュリティ対策に合意
ジェネシス、ユーライ発-きのうのインナーサークルの会合では、DEDと各国が長年にわたって実施してきた懸賞金プログラムも追加議題として話し合われた。CONCORDはプログラムの精度と効率を改善するため、新たな資金分配方法とセキュリティ対策を推し進めることを決めた。
通商保護委員会と指令執行局は辺境リージョンにおける反体制派、海賊、犯罪組織の活動と現行の懸賞金プログラムを比較分析し、独立カプセラとの治安維持契約のようなDEDと各国が共同で行ってきた施策は十分な効果をあげていないことを明らかにした。また、カルダリは以前からイシュコネウォッチとライダイ警備サービスの情報をもとに状況を分析するよう求めていたが、その情報はガリスタス海賊団とエンジェルカルテルがそれぞれ個別に懸賞金プログラムを妨害しようと試みていることを示していた。
インナーサークルは通商保護委員会がヌルセク宙域における懸賞金プログラムの全責任を負うよう命じ、新たなセキュリティ対策と監視システムを早急に導入して適切に資金を分配するよう指示した。なお、DEDはこれまでどおり監視介入任務を継続するものの、ヌルセク宙域では諜報活動に専念し、辺境リージョンにおける犯罪者やテロリストの活動を追跡、予測することに力を注ぐ模様だ。
◆ポクヴェンにてトリグラヴィアンと戦うドリフターズ、ローグドローンが目撃される
ポクヴェン発-トリグラヴィアンの恒星操作により形成されたポクヴェン・リージョンにおいて、EDENCOM部隊と有志カプセラがトリグラヴィアンと交戦するドリフターやローグドローンを多数目撃している。EDENCOMは被占領星系の状況を確認し、抵抗勢力の支援や民間人の避難が可能かどうかを評価するため、ポクヴェンへ調査部隊を送りこみつづけている。
ポクヴェンにおける活動がトリグラヴィアンに妨害されることは予想済みだったが、現実のEDENCOMは多数のドリフター艦やローグドローンの群れという想定外の脅威にまで直面した。現地への進入ルートは現在調査が進められているものの、予備調査によると、被占領星系の時空間トポロジーが変化したことでかなりの数の不安定ワームホールが発生しているようだ。
EDENCOMの研究者たちは、トリグラヴィアンとカプセラによるコンジット、フィラメント技術の大量使用に加えて、ドリフターズとローグドローンの何らかの活動が影響し、ポクヴェンを構成する星系の基礎位相が劇的に変化している可能性を否定していない。被占領星系とニューエデンの時空間トポロジーにどのような変化が起きているのかは不明な部分が多く、多くの研究者は今はまだ変化の最中だと考えている。
◆サケンタ3の抵抗勢力がカルダリ海軍偵察部隊と連絡回復
クライ・ペルン、サケンタ発-サケンタ星系からの最新情報によれば、同星系は長期にわたってトリグラヴィアンの占領下に置かれているにもかかわらず、サケンタ3の抵抗勢力がいまだ活動を続けている。サケンタ星系はポクヴェンに取りこまれた多くのカルダリ領の中でもかなり早い段階で陥落しており、6月中旬には侵略者の手に落ちていた。しかし、カルダリ海兵隊の偵察部隊が数日前にサケンタ3との通信に成功したらしく、抵抗勢力はペルン・クレードによる惑星支配に今なお抗いつづけているようだ。
スターゲート停止とポクヴェン形成の前に届いていた情報から、サケンタ3、サケンタ5のレジスタンスは崩壊したか殲滅されたと思われていた。全体的な状況は不明瞭だが、サケンタ5とはほとんど連絡がとれておらず、星系内で活動するトリグラヴィアンの主要拠点になっている可能性が高い。トリグラヴィアンが惑星全体の空気質、水質、地質を改造するために「ナノフォーミング」を開始しており、サケンタ市民への生体適応施術を加速させているとの情報もある。
カルダリでは多くの星系を失ったことに対する抗議活動が依然として続いており、連合当局と巨大企業は市民に冷静になるよう呼びかけている。先週スターゲートをめぐる混乱が発生した際は、市民が巨大企業の緊急対応を支持したおかげで抗議は大幅に減少した。しかし、その後は被占領星系の運命がふたたび最大の関心事になり、市民の怒りが再燃する結果となった。代表取締委員会と八大企業に対する圧力はYC110年のプロヴィスト革命を彷彿とさせる勢いを保ち、今のところ収束する気配を見せていない。
◆スカーコン2の紛争つづく…プロパガンダと事実が混在
クライ・スヴァログ、スカーコン発-以前から紛争状態にあったスカーコン星系は、スヴァログ・クレードによる惑星侵攻が始まったことで手の付けようがない混沌を生んでしまい、現地からは異様な混乱した情報が届いている。スターゲート停止前後に発信された情報によると、スカーコン星系をめぐってスヴァログ・クレードとヴェレス・クレードが衝突したという話まであるが、最終的にはスヴァログが支配権を確立したようだ。
比較的人口が少ないクリラルド星系からの避難はおおむね成功したとされているため、ミンマター当局はスカーコン星系に残る何百万もの人々の苦境、特に工業化が進んでいて人口の多いスカーコン2に注目している。部族会議はクリラルド、スカーコン星系は今なお「マター七大部族が主権を有する領土」であることを再確認し、両星系の奪還を最終目的とした作戦を継続するよう命じた。
スカーコン地方政府と現地部隊が星系を見捨てたという非難もあるが、サンマター・マレアツ・シャコールは「残忍な侵略者であるトリグラヴィアンと手を組んだ者の言葉。人類の裏切者が言う根拠なき中傷、虚言」だと一蹴。事実、行政官であるクマター・クリル・イフリートはスカーコン星系に留まっており、部族会議はレジスタンス部隊の指揮官として将軍職に任命した。
スカーコン2と旧共和国議会ステーションからの最終避難船団によれば、トリグラヴィアンは宇宙港やドッキングベイへのアクセスを断ちつつ、星系のインフラにとどめを刺したという。また、避難船に乗っていた人々はスヴァログが特に残酷で無差別な攻撃を行うと証言している。ステーションから辛うじて無事に脱出できた避難船によると、ステーションに侵入してきたスヴァログ兵はパワーアーマーとパーソナルシールドを装備し、運動エネルギーを利用した兵器を使う重装歩兵だった。避難船の中には星系を逃れる前に拿捕された船や航行できないほど大破させられた船もあり、一部は宇宙空間で撃沈されたようである。
◆ガレンテ元老院は被占領星系からの避難について緊急調査するよう政府に要請
クライ・ヴェレス、ベイル発-連邦元老院はセレス・アガード大統領に対し、ポクヴェンに取りこまれたガレンテ領からの避難方法を調査するよう勧告を可決した。ベイル星系は多くの人口を持ちながら一度は隔離状態に置かれたものの、元老院の決定により隔離が解かれ、今なお数十億人が生存していることが確認されていた。
ガレンテが失った星系は比較的少ないが、高度に開発された人口稠密なベイル星系が占領されたために、官民問わず大きな打撃を受けた。イグネベナー5やアンジーモン4など、他のガレンテ領に取り残されている民間人の今後にも深い懸念が寄せられているが、対トリグラヴィアン戦に関する国内の社会的・政治的反応はもっぱらベイル喪失という悲劇的事件を取り上げている。
特に、トリグラヴィアンがベイル星系の星々で生物圏を改造しているという報道はガレンテ市民に衝撃を与え、何らかの行動を求める政治的な動きにつながった。一方、「カイバーノート」を名乗る親トリグラヴィアン派カプセラや、親トリグラヴィアン派革命組織「イントリゲール」など、ヴェレス・クレードはむしろベイル星系に恩恵をもたらしているのだと主張する勢力もある。ガレンテの政治家はこうした主張を一蹴し、侵略行為、大量虐殺、残虐行為を隠蔽しようとするプロパガンダとして非難している。
ガレンテ政界の反応は先述したとおりだが、EDENCOMの情報統制にもかかわらず、ベイル住民の多くが占領軍に協力しているという報告も漏れ伝わってきている。ヴェレス・クレードはミュータプラスミド技術を大規模に使用して惑星のナノフォーミングを進める一方で、そうした環境から住民を守るため防護的生体適応技術を提供しているという好意的な情報だ。ヴェレス・クレードがベイル住民に配慮している可能性について、アガード大統領は次のようにコメントした。
「私はむしろガーロンの糸吐き蜘蛛を思い出して恐ろしくなりました。彼らは獲物を捕らえると、絹のように美しい食料保管庫で優しく世話をするのです」
◆アマー帝国は現状維持と恒星操作活動の研究に注力
ドメイン、アーシャト発-アマー帝国が失った星系はそれほど多くなく、避難を余儀なくされた市民や逃げ遅れた市民も少なかったため、比較的小さい被害でトリグラヴィアンの侵略を乗り切ることができた。現在のアマーは侵略の余波を注視しつつ、帝国本国、クーニッド王国、アマター自治領の安全を確保することに集中している。ララボス、ハルバ、ナイアルジャ星系を喪失したことで貴族階級が狼狽した時期もあったが、アマー軍が防衛方針を確立して戦況が安定するにつれて、戦争遂行に関する中央への批判は静まっていった。
ナイアルジャ・カープテネン航路の喪失が深い懸念事項であることに変わりはないが、アマー当局は同盟国カルダリと協力して新たなジャンプルートを用意した。アマー貿易登録局によると、アマー・カルダリ間の軍事・産業交通量は「許容できるレベル」で推移している。新たな民間用スターゲート設置に向けた調査も計画されはじめたと言われているが、アマーとカルダリのどちらも正式なコメントは発表していない。
注目すべきアマー国内の動きとしては、アーシャト星系防衛時にEDENCOMが確保したトリグラヴィアン恒星操作施設が無事に機能を停止し、アマー公共ニュースがこの結果を全力で称賛している。これは国際研究チームによる科学的・技術的研究の成果であり、どのような状況で機能が停止したのか疑問視する向きもあるが、アマー当局は帝国全体を安定させるプロパガンダにうってつけの材料だと見なしている。
その他のニュース
・DED関係者によると、EDENCOM情報部文化情報課の幹部がトリグラヴィアン宙域で行方不明になった模様
・PKNインターステラーは「トリグラヴィアンの侵略に乗じて詐欺や横領を働いた」とガリスタス海賊団を非難
・アマー帝国が国内各地で軍備再編を加速させているとの情報。アマー当局はコメントを拒否
・ケイル市ローグドローン文化交流協会の事務所がふたたび爆破される。ケイル・ジャンダームは容疑者不明、死亡者無しと発表
・サルム軍管区は大規模な惑星攻撃部隊を編成したという噂について認否を拒否
・PKNインターステラーがジタ4-4拡張工事について報告。戦時体制移行にともない遅れが生じたものの、作業を再開したとのこと
・アマー帝国外周部でブラッドレイダーの活動増加、アマター艦隊が懸念を強める
・ミンマターがフロセスウィン4の脆弱性を否定。海軍と地域防衛隊は強化された惑星防備に自信
・カウノッカ3、DCMIダイナシティ4の元行政役員がニューカルダリプライムで暗殺される。スペースレーンパトロールが捜査中