ギネス世界記録を2つ同時更新!
2020-10-29 – By CCP Convict
10月6日から7日まで14時間以上にわたって戦われたFWST-8の大攻防戦は、114個のアライアンスから9,000人近いプレイヤーが参戦し、EVE Onlineだけでなくゲームの歴史の中でも最大のマルチプレイヤーPvP戦闘となりました。
FWST-8の大攻防戦はギネス世界記録により、一つではなく二つの世界記録を達成したと正式に認定されました。
- ビデオゲーム史上もっとも大規模なマルチプレイヤーPvP戦闘 (プレイヤー数 8,825人)
- ビデオゲーム史上もっとも同時参加者数の多いマルチプレイヤーPvP戦闘 (プレイヤー数 6,557人)
今回の戦いはかつてEVE Onlineで発生した二つの戦い、B-R5RBの死闘(2014年)と9-4RP2の包囲戦(2018年)が達成した記録を塗りかえました。
EVE Onlineプレイヤーは他のどんなゲームの世界でも見られないような巨大かつ熾烈な戦いを巻き起こし、またしても自らの存在を歴史に刻みこんだのです。
◆戦いはいかにして起きたのか?
2016年の初め、Goonswarm Federationを筆頭に多数のアライアンスから成るImperiumコアリションは権勢の頂点にあり、ニューエデンの征服可能な宙域、すなわちヌルセク宙域の北半分全域を支配していると主張するほどでした。
しかし同年3月末、多くのヌルセクコアリションが連合してMoney Badger Coalitionを結成。この前例のない規模の超巨大勢力が出現したことをきっかけに、ニューエデンの辺境宙域は総力戦モードに突入しました。彼らの目的はただ一つ。このゲームでもっとも裕福なプレイヤーの一人と結んだ傭兵契約、「Imperiumの本拠地追放」を実行することです。
EVE Onlineと聞いて皆さんが想像するとおり、この戦争を取りまく原因や策謀はとても複雑で、上記は極めて単純に説明したものでしかありません。戦争の背景については今日まで熱い議論がつづいていますので、興味のある方は様々な場所で報じられている別の記事もご覧になってみてください。
戦況は2か月ほどで沈静化し、Imperiumはニューエデン北部の彼らの領土を追い出され、旧領は勝利したMoney Badger Coalitionの構成組織のあいだで分割されました。Imperium追放という目的を果たした連合軍メンバーはふたたび別々の道を歩みはじめ、Money Badger Coalitionはまもなく解散することになります。
Imperiumが領土を追われたのはこれが初めてではありません。しかし、信じられないほど強靭な団結心を持つプレイヤーたちにとっては、領土ではなくコアリションこそが本拠地でした。彼らは過去と同じように、またしても立ち上がります。
◆汝の敵を近くに置け
Imperiumは数か月ほど辺境をさまようことになりましたが、やがてデルヴを新たな本拠地に定め、周辺のクエリアス、ピリオドベイシス、ファウンテンを版図に組みこみ、ニューエデン南西部に帝国を再建しました。
そして2017年、TEST Alliance Please Ignoreがデルヴに隣接するリージョン、Imperiumの目と鼻の先に拠点を移しました。
TESTとGoonswarm Federationのあいだには長く複雑な歴史があります。かつては堅固な同盟関係にありましたが、2013年、現在ではファウンテン戦争と呼ばれている紛争で同盟は崩壊。Imperiumを北部から追放した戦いでは、TESTがMoney Badger Coalitionの重要な役割を担った点は注目に値します。
両勢力は煮えたぎる緊張関係にあったものの、全面的な敵対行動をすぐには再開せず、正式な不可侵条約を結びました。遊び半分の戦闘を求めて互いの領土に侵入することを認める一方で、領土そのものを奪おうとする行為は条約違反と見なしたのです。両者は信用できない隣人のままでしたが、不可侵協定は守られ、情勢は落ちつきを見せました。
Imperiumはその後の数年間でデルヴと近隣宙域の支配を固め、艦隊を再建し、領土各地のインフラを整備。最終的に北部時代と同等、あるいはそれを上回りかねない力を手に入れました。
一方のTESTは新たな領土に定着し、近隣で活動するBrave Collectiveなどの強力なアライアンスと同盟関係を構築。Legacyコアリションとして知られる強大な勢力を形成しました。
◆戦争は変わらない
2020年に入ると、ふたたび大規模な戦争が起きるかもしれないという噂が広まりはじめました。6月、Legacyコアリション指導部が不可侵条約の破棄を発表するとともに、ヌルセク全体を糾合した超巨大勢力の存在が明らかになり、噂は事実だったことが裏付けられました。連合軍はPAPIと名を変えてこそいるものの、陣容は数年前とそれほど変わらず、Money Badger Coalitionと同じ構成組織がいくつも含まれています。
両者の脆い平和が崩れ去るのは避けられない展開だったのかもしれません。ニューエデンが数年ぶりの全面戦争の熱気に包まれるなか、両陣営は7月初めに正式に開戦。数週間におよぶ前哨宙域での戦闘ののち、PAPIは「デルヴ要塞」、すなわちImperium本拠地の境界線へ到達しました。
PAPIが戦略目標を達成するためには、デルヴのNPC勢力ブラッドレイダーが支配する宙域にキープスター型シタデルを建てなければなりません。キープスターは大型主力艦艦隊の停泊地、あるいはリージョン各地のインフラを攻撃する部隊の前進基地として、デルヴ攻略の橋頭保になるのです。
最初の攻撃は10月5日、FWST-8星系で行われました。しかし、Imperium艦隊は迅速に応戦し、5,000人近いプレイヤーが参戦した戦いが3時間ほど続いたあと、キープスターは破壊されました。
この戦闘は十分に大きな戦いでしたが、翌日同じ星系で起きた大攻防戦には及びませんでした。
第一次キープスター攻防戦の余波がいまだ収まりきらないなか、PAPIは次のキープスターをFWST-8に建設しはじめました。キープスターを破壊するチャンスは24時間後に訪れる予定になっており、Imperiumは再度PAPIを攻撃して橋頭保構築を阻止する決意を固めます。
そして、この戦略的に極めて重要なキープスターをめぐり、世界記録を破る戦いが起きたのです。
◆最後に
EVE Onlineプレイヤーが成し遂げる世界最高の偉業に対し、私たちCCPは驚嘆と畏怖の念を覚えずにはいられません。EVE Onlineコミュニティが示す献身と情熱は他のどんなゲームと比べても並ぶものがなく、ニューエデンという素晴らしいSFサンドボックスでつむがれる物語、そして破壊される宇宙船は、私たちをいつも誇らしい気持ちにさせてくれます。皆さんによって命を吹き込まれたこの仮想世界の管理者でいられるのは、本当に名誉なことです。
しかし、戦いの物語はいまだ完結していません。FWST-8の大攻防戦ののち、ImperiumはPAPIが建設しようとしたキープスターをさらに二つ破壊。10月18日、ついに5回目の試みでYZ9-F6星系のキープスターが稼働し、戦争は次の段階へと移りました。
私たちは皆、この戦争の中でどんな歴史が作られるのかを注意深く見守っていきます。
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FWST-8の大攻防戦に参加したパイロットが戦いの感想を語ってくれました。
「FWST-8のような戦闘は滅多に起こりませんが、これこそEVEをEVEたらしめている戦いです。よくサーバーが持ちこたえてくれました。ところで、私が世界記録に関わるのはこれで2回目なんです。3回目があることを祈っていますよ」PAPI陣営、Northern Coalition所属、Killah Bee (ドイツ)
「FWST-8はみんながニュース記事で読むようなEVE Onlineを象徴する戦いの最新版です。参戦したプレイヤー全員にとって、『俺はあそこにいたんだ』と言えることは大変な誇りです。しかし私がもっと素晴らしいと感じたのは、戦いに臨んで発揮された仲間意識とチームワークでした。私は数年後もこのゲームをプレイしていると思いますが、戦いの詳細は忘れてしまっているかもしれません。しかし、私たちがあの戦場で一丸となって戦ったこと、宇宙の仲間たちと大いに楽しんだことは絶対に忘れないでしょう」Imperium陣営、Goonswarm Federation所属、Klavas (アメリカ)
「戦闘の規模、両陣営で参戦したプレイヤーの数、FWST-8からの一連の流れで生じた損失、すべてが信じられないレベルです。ヌルセクで15年近く戦ってきました私でも、今回のような戦争は経験したことがありません。参戦したプレイヤー全員の忍耐が限界まで試されています。ヌルセクプレイヤーはこういう戦いを長年夢見てきました」PAPI陣営、Pandemic Legion所属、Hedliner (イギリス)
「FWST-8の戦いはEVE OnlineやMMORPGだけでなく、ビデオゲームそのものにとって歴史的な出来事なのは間違いありません。我々のアライアンスとコアリションが誇る作戦指揮官たちは今回の戦いのため、この2週間というもの途方もない量の準備と計画を進めてきました」PAPI陣営、Northern Coalition所属、strbrr (ロシア)
「FWST-8の戦いは私たちがメディアを通して見聞きしたり、あるいはルーキー達へ『俺はあそこにいたんだ』と誇りをもって語ったりできるような、EVE Onlineの中でも数少ない最高の瞬間でした。世界中の何千人ものプレイヤーとビデオゲーム史上最大の戦いに参加し、自分よりも大きな何かの一部になっていると実感すること、そして恐ろしく不利な戦況のなか皆でベストを尽くしたことは、決して忘れられない思い出になるでしょう」mperium陣営、Goonswarm Federation所属、Naice Rucima (フランス)