ギャラクティック・アワー ニュースダイジェスト: YC123年と124年を結ぶユールフェスティバル
2021-12-30 スコープ、レト・グロリアクス
YC123年が終わり、YC124年が始まろうとしている。今年もトリグラヴィアン戦争の余波やエクリブリウム・オブ・マンカインドのテロなど様々な事件があったが、ニューエデンの人々は比較的落ちついた状況で年末を祝っている。「レト・グロリアクスのギャラクティック・アワー」は世界各地のニュースをお届けする。
◆YC123年の終わりとYC124年の始まりを告げるユールフェスティバル
今年は年末にかけて交通量の減少や経済活動の落ちこみが見られるものの、ユールフェスティバルの参加者は昨年より増加している模様だ。産業・市場における活動低下は各国の債務返済延期に加えて、戦時中に行われた多くの投資と艦艇建造プログラムが終了したことが原因だと考えられている。なお、ユールフェスティバル期間中の交通量はYC122年の同時期と比べて60%以上減少しているが、こちらは軍事関係の移動が減ったことと、景気悪化にともなう通行量減少が影響しているものと思われる。
第4四半期は星間経済活動が落ちこんだが、不安定ながらも比較的平和な状況がつづいたため、多くのニューエデン市民のあいだである種の楽観主義が生まれている。有人惑星から大規模コロニー、果ては宇宙空間の居留地まで、ニューエデンのさまざまな場所で大勢の人々が年末の祭りを楽しんでいるようだ。また、ユールフェスティバルを家族で祝う習慣が各国の文化に定着しつつあり、祝祭を家族行事として行う市民も増えている。
アマー帝国は故ハイデラン7世の命により、ユールフェスティバルを宗教的な祭日として扱っている。帝国では異端狩りや反体制派取り締まりの影響で抑圧的な日々がつづいていたが、最近になってようやく日常が戻ってきたため、祝祭期間を迎えたアマーの街々には信仰と放埓が入り混じった情熱的な雰囲気がただよっている。
昨年のユールフェスティバルはトリグラヴィアン戦争終結から日も浅く、ガレンテ連邦の祝い方は控えめなものだったが、今年は打って変わって自由奔放な空気に包まれている。ケイルやニューリエンヌといった主要都市の街並みにはお祭り騒ぎが戻ってきており、やや行き過ぎた快楽主義まで復活しているようだ。ガレンテ全体がそのような状態になっているわけではないが、各地で行われている祝祭のほとんどが昨年ほど自制していないのは間違いない。
ミンマター共和国では、YC124年1月にマターのグレート・キャラバンサライで第5回部族会議が開催されるとの発表があり、祝賀ムードが高まりを見せている。部族共和国はサンマターを選ぶ部族会議を隔年と定めており、ミンマターの政治家やメディアはサンマター・マレアツ・シャコールが会議開催を遅らせようとする可能性は低いと見ていた。しかし一方で、「シャコールの警察国家」とあだ名される現体制がさらに締めつけを強めるのではないかと半年ほど前から噂されていたため、今回の発表を受けて安堵したミンマター人は多いだろう。
カルダリ連合では、八大企業を中心に国家全体が何らかの形で年末年始を休暇としているため、労働者階級は休みを利用してユールフェスティバルを楽しんでいる。しかし、トリグラヴィアン戦争後のカルダリは軍事力と工業力の強化に傾倒しており、国家指導部に対する市民の不満もいまだ解消しておらず、カルダリ社会は戦争の影響を引きずっているのが現状だ。
不死身のエリートであるカプセラたちもニューエデン各地でYC124年の訪れを祝い、さまざまな方法でYC123年に別れを告げている。
—短報—
◆CONCORDインナーサークルがトリグラヴィアンとの外交的接触に関する報告書を検討
ジェネシス、ユーライ発 CONCORDインナーサークルとつながりのある極秘情報提供者がギャラクティック・アワーに語ったところによれば、安全保障と外交に関する最高評議会であるインナーサークルが、「トリグラヴィアン・クレードとの外交的接触に関するEDENCOM情報部の報告書」を真剣に検討しているという。
情報提供者によると、この報告書は「外交・安全保障に関する姿勢がクレードごとに異なる可能性」を論じており、トリグラヴィアン・コレクティブを統一された敵勢力と見なすことにこだわっていない点が特徴だ。そうはいっても、トリグラヴィアン艦隊は今なおニューエデン各地を襲撃しており、EDENCOMと四大国はトリグラヴィアンが進出している星系に対して「全力で迎撃し、封じ込め、積極的に逆襲する」方針をとっている。ギャラクティック・アワーはCONCORD、各国代表団、政府にコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
◆インターバス社がユールフェスティバル安全啓発キャンペーンによる事故減少を報告
ザ・フォージ、ジタ発 インターバス社は昨年同様に今年のユールフェスティバルでも宇宙船の事故が減少したと発表し、自社の安全啓発キャンペーンの効果を強調した。宇宙船のディスプレイやホログラムで放送されているインターバス社の安全啓発キャンペーンは、未使用クローンに命が宿って船内を荒らしまわるという宇宙居住者の怪談を題材にして、安全に関するメッセージを楽しく発信している。この「ユールクローン」キャンペーンは人目を引くことを重視しており、比較的危険な宇宙産業で多くの人々が経験する「警告疲れ」を克服するため、あえて変わった方法で宇宙船の安全にとって重要な項目を強調している。
◆ニューエデン各地で揮発性アイスストームが増加。時空間データの異常も検出
シンクレゾン、ブーリンズ発 ニューエデン各地でメタリミナルストームの一種、揮発性アイスストームが吹き荒れている。学際研究協会、シスターズ・オブ・イブ、ケイル大学のメンバーで構成される共同研究グループの科学者たちは、ニューエデン全域で異常な時空間データが観測されていると報告。メタリミナルストームは時空間測定における超エネルギー的微小変動と関連していることが分かっているため、研究グループはアイスストームと異常データに何らかの関係があるという仮説を立てて研究を進めている。なお、CONCORDとインターバス社はメタリミナルストーム、特にアイスストームについて航行安全情報を発しているが、研究グループはこれらについて当局が警告している以上の危険性があるとは考えていない。
◆ミドナ・ライアがロックオペラ「深紅の聖杯のアリア」を発売。ブリークランドで没収され論争の種に
ブリークランド発 賛否両論のロックスター、ミドラ・ライアの最新アルバムがミンマター占領星系からブリークランドを輸送中に没収された。アルバムを没収したアマー帝国はCONCORD、ガレンテ連邦、ミンマター共和国に対し「もっとも強い言葉で」抗議している。ミドナ・ライアはベテランの「ソニック・サビク」アーティストだが、問題のロックオペラ「紅き聖杯のアリア」はこれまでの作品の中でもっとも物議をかもしている。というのも、この曲は悪名高きオミール・サリクサの「紅き聖杯の瞑想録」の翻案であり、ブラッドレイダー盟約の指導者が記した思想をもとにしているからだ。
サルム軍管区の広報官であるカティブ・オラカル・ゼル・サルム卿は、「サリクサが書いた汚らわしい血の戯言を広める、はなはだ不快な行為である。これはテロリストのシャコール政権に支援された部族反乱軍の仕業だ」と述べてミンマターを非難した。ミンマターのカント・フィルミア将軍はこれに対し、「アマーは相変わらずだな。気に入らない言葉を聞くだけでめそめそ泣きわめいている。奴らの腐った帝国は、ミンマター人民の血で固められたレンガによって築かれているというのに。まったく呆れた話だ」と反論した。
◆ガレンテが「プラシッドのカルダリ占領星系が無法状態にある」と抗議
ジェネシス、ユーライ発 CONCORDのガレンテ代表団はカルダリ連合に対し、YC110年緊急義勇兵戦争権限法にもとづいて複数の抗議を行った。ガレンテ代表団はカルダリ占領下にあるプラシッドの星系で「無法状態のような雰囲気がただよっている」と主張し、連邦海軍とガレンテ警察機構が星系の治安維持を行うための緊急許可を求めている。
カルダリ代表団は「法秩序を乱そうとする犯罪的な試み」だと抗議を一蹴し、連邦海軍が「カルダリ義勇兵占領地域に侵入」した場合は悲惨な結果を招くだろうと警告した。ガレンテ・カルダリ両国の応酬をよそに、CONCORDの法執行機関は「反体制的クローン兵、違法技術密輸業者、非合法コロニーによる犯罪とテロ行為の増加に対応」するため、プラシッドとバージベンダーにおいて活動を拡大させている。
その他のニュース
・ミンマター海軍軍需品部の工兵隊、「アンギルス要塞」指令を受けてクロゴリ星系の惑星へ降下
・ミンマターが新たな地域防衛部隊に資金投入。アンギルス・コンステレーションを通行する民間船は軍の護衛を受ける
・サルム家はエウギディ・コンステレーションにおいて要塞、艦隊停泊施設、軍用ジャンプゲートの建設と兵力増強を継続
・サルム家司令部はエウギディの要塞化地域を維持することに注力。他のエリアのアマー軍は後退中
・サルム家はフロセスウィン星系で長期間にわたって惑星封鎖を行う一方、エウギディにも相当な投資を実施。フロセスウィン再攻撃の可能性について専門家の意見は割れる
・連邦防衛同盟が継続的な攻勢により11個星系を制圧。連合プロテクトレイトは後退し、カルダリ企業の資産保護部隊も撤退
・カルダリ企業によるインタキプライム再攻撃の可能性が浮上。インタキ議会は各都市の航空宇宙交通を制限し、惑星防衛部隊を動員
・ガレンテ義勇軍の攻勢によりペゲラー・コンステレーションが不安定化。DERAIL/レッドトループ合同任務部隊は現地での活動を加速
・エンジェルカルテルとサッカー系犯罪組織の争いがシンクレゾンにも飛び火。コレリ・エヌア・ポイトットのトライアングル密輸ルートをめぐって抗争
・アエネブラ教団の暗殺者がシンジケートを襲撃。EZA-FM星系の親ガレンテ派ステーションオーナーを家族ごと虐殺
・シルフィ・アン・ディアベルはV・サルバドール・サーパティとサーペンティス社が「麻薬漬けにしたカルト教団の人殺しを道具に使っている」と非難
・ガレンテ義勇軍の攻勢で混乱するサースルド・コンステレーションにて、ガリスタス海賊団とシャドウサーペンティス部隊が交戦
・クーニッド王国が「反逆者および異端者」掃討作戦の一環として、ミシ4で「サンシャ国の工作員1,000名」を公開処刑。
・クーニッドでの公開処刑を受け、タヌー星系の宗教評議会は「神聖なる正義を執行しようとして狂信と過ちに陥る可能性」についての書簡を発表。