スコープニュース – ターナー星系に大惨事迫る
2022-10-28
ターナー星系の恒星はアマー帝国が設置したプロトタイプ恒星変成装置の影響により、もはや回復することができないほど不安定になっている模様です。恒星から出る放射線量はこれまでになく短い間隔で変動しており、まもなく限界点に達しようとしていると思われます。放射線量が急増する間隔が直線的に短くなっていることから、研究者たちは計算の結果、ニューエデン標準時11月2日17時頃に恒星が限界を迎えるだろうと警告。限界を迎えた恒星で何が起きるのか議論がつづいていますが、とにかく相当規模の現象が起きるという点では意見が一致しています。有力な説の一つは、YC111年のセイリン大災害のように恒星質量放出現象が起きて膨大なエネルギーが放たれるというものです。どのような形でどれほどの規模の事象が起きるのか様々な可能性が考えられますが、このような大惨事の影響は星系全体におよぶものと予想されます。アマーのサーダン・ゼル・クオシュ元帥はターナー星系の恒星変成装置に駐在させる人員を減らし、技術者たちには装置を停止させるよう命じたとのことです。
ターナー1と共和国議会ステーションは恒星にもっとも近い軌道にあり、セイリン大災害と同規模のエネルギーに襲われれば壊滅的なダメージを受けるか、悪くすれば破壊される恐れもあります。ターナー1の惑星産業では賃金の引き上げや危険手当が提示されましたが、労働者たちは続々と避難を始めました。何千人もの労働者とその家族が機材を捨てて脱出し、後にはひとけのない地下居留地だけが残されています。アマー軍の占領部隊は補助労働者や奴隷を連れて何日も前に惑星を去りました。
惑星に唯一残ろうとしているのが、ターナー1に最初に入植したミンマター人の末裔である遊動民です。彼らは遊動生活を送る氏族で、岩と砂漠だらけのターナー1において星間貿易と惑星産業が存在感を示すようになるまで何世代にもわたって隔絶した生活を送ってきました。遊動民たちは「免罪者」タヌク・グフランという呪術師のような人物から説教を受け、今回の出来事は霊的な力が介入した結果だと固く信じているようです。グフランはターナー星系が産業と戦争によって持ちこまれた争いから解放される、ターナー1は生まれ変わるのだと説いています。彼の教えはかなり奇妙に思えますが、ミンマターの伝統主義者たちはこれこそがターナー1の諸氏族の生きる道だと真剣に受け止めています。
グフランの主張だけでなくアマー軍の脅威もあり、避難に乗り気でない大勢の遊動民を脱出させる作業は難航しています。ミンマター海軍のカント・フィルミア将軍はアマーによる恒星変成装置の設置・運用について、無謀な野心を抱いたあげく酷い失敗を犯したと強調。さらにアマーはターナー星系からの脱出を妨害していると非難しました。アマー軍は協力して事態に対処することを拒み、一時停戦もきっぱりと拒否する姿勢を取っているため、ミンマター海軍は大規模な避難活動を実施できずにいる状況です。
しかし、救出部隊の輸送船は困難を背負いながらもターナー星系に進入し、避難民をターナー1軌道上の共和国議会ステーションからもっと遠くのステーションに移そうと奮闘しています。彼らは異常現象が星系全体を破滅させず、遠く離れたステーションや惑星ならいくらか身を守れるはずだと必死に願っているのです。危険にさらされている人々の避難をさらに複雑にしているのが、ブラッドレイダー盟約と聖テトリモン教団の存在です。ブラッドレイダーは毎年恒例の血の収穫祭を祝い、紛争宙域の混乱を利用して避難船と軍艦を襲っています。異端狩りで名高い聖テトリモン教団も出動していますが、戦火に悩まされてきたミンマターの入植者と兵士がアマーの武装修道会を歓迎することはないでしょう。
スコープのアルトン・ハヴェリがお送りしました。
ニュースティッカー
・恒星変成装置によりターナー星系の恒星が不安定化したことを受けて、エグマ、バード星系でも警戒強まる
・ターナー1からの脱出は周辺宙域での戦闘とブラッドレイダーの活動に制限される
・ミンマター義勇軍の攻勢が成果を挙げるも、アマー義勇軍はエウギディ・コンステレーションを堅持
・連邦防衛同盟がシタデル方面で攻勢…カルダリ領ナガマネン星系を制圧
・四大国が紛争宙域に集中していることを受け、CONCORDは懸賞金最低額を引き上げて対海賊活動のインセンティブを強化
・カプセラ義勇兵の協力によりカルダリがトリグラヴィアン移送中継施設の調査を完了
・恒星変成技術の危険性が明らかになるも、アマー・ミンマターは技術研究を続行
・サンシャ国がウルピケン・コンステレーションを襲撃。紛争宙域の只中にある一帯はパニック状態
・ガレンテは「恒星変成装置の無謀な実験を急いだ」とアマーをふたたび非難
・聖テトリモン教団が「神聖アマーの国益を確保する」ためにターナー1へ降下した模様
・CONCORDとEDENCOM、避難活動への支援や恒星現象の危険性を軽減する措置について協力を要請
・共和国司法局の輸送船が「ターナー1に捨てられた数千人の奴隷」を救出
・アマー・ミンマター海軍の小部隊はいまだ恒星変成装置周辺で交戦
・ブラッドレイダーがエウギディ・コンステレーションの傭兵基地を襲撃。激しい戦闘に
・ガレンテ・カルダリ海軍はそれぞれアミグノン星系とサマヌニ星系に集結。外交関係者らは次の動きを懸念
・サンマター・マレアツ・シャコール、ターナー1の遊動民に向けて避難を促すメッセージを発する
・インナーサークル・ミンマター代表のケイタン・ユン、恒星変成装置が「大虐殺をもたらした」場合はアマーに制裁すべきだと主張
・インナーサークル幹部がEDENCOMのカシハ・ヴァルカニール司令官と面会。恒星変成装置をめぐる危機について協議
・EDENCOM情報部、ポクヴェンのトリグラヴィアンが「新たな警戒すべき行動パターンを見せている」と報告
・ヴェレス軍の撤退、スヴァログ軍の拠点への後退によりスカーコン2の戦いは珍しく小康状態