シップキャスター技術スパイ問題が紛糾 CONCORD/EDENCOMタスクフォースをめぐって非難合戦
2023-02-16 スコープ、リナ・アンバー
◆シップキャスター技術スパイ問題が紛糾。CONCORD/EDENCOMタスクフォースをめぐって非難合戦
ジェネシス、ユーライ発 今日、ユーライ星系でCONCORDの公開協議が開催された。協議ではCONCORD/EDENCOMタスクフォースが関与したシップキャスター技術スパイ問題が取り上げられ、四大国は激しい応酬を繰り広げた。特にミンマター共和国は、アマー帝国からEDENCOMに派遣されている人員を「情報収集・技術獲得を目的とする帝国のエージェント」だと非難し、アマーの激しい反発を呼んだ。
ミンマターはCONCORDのAG12機関やEDENCOMの恒星観測局が参加しているタスクフォースについて、「タスクフォースはEDENCOMに派遣されたアマー軍関係者を広く登用し、CONCORD構成国のステーションに駐在させ、自分たちの情報源として秘密裏に動けるよう支援した。情報収集・技術獲得を目的とする帝国のエージェントの活動を認めるにも等しいが、その事実に目をつぶったのだ」と主張。同国のケイタン・ユン代表はこの主張を裏付ける証拠を示した。
ユン代表はさらに、カルダリ連合各地のEDENCOM部隊に多くのアマー軍士官が所属していることを指摘し、次のように訴えた。
「EDENCOMはまたしてもアマーの工作活動の道具にされた。CONCORD指導部まで事態に関係しているところを見ると、共和国の多くの人々はCONCORDそのものがアマーに利用されていた時代を思い出すだろう。まことに残念ながら、当時は帝国が取った行動のために極めて厳しい緊急措置が必要となった。我が国はふたたびそのような措置を講じないで済むよう努めているし、アマーの二枚舌のせいでカルダリまで我々と同じ状況に追い込まれる必要はない」
アマー代表のハミデ・カドール女侯は自国を非難されたことへの怒りをかろうじて抑え、次のように反論した。
「神聖アマー帝国はこのような根拠なき主張を完全に否定するとともに、シャコール政権がまたしてもニューエデンの人々に不和の種をまこうと汲々としていることを遺憾に思います。彼らの動機はまったく利己的なものです。ユンは恐怖政治体制の代弁家であり、異常な狂ったカプセラたちから陰謀論をかき集めては方々に売りこんでいることで知られています。しかし、今回の最新作、この捏造と嘘と中傷のツギハギを聞くかぎり、彼が名乗っている『外交官』とやらのキャリアは堕ちるところまで堕ちたのでしょう。実際のところユンは『羊飼い』のふりをした殺し屋にすぎず、この男が率いているのは羊の皮をかぶった狼の群れなのです」
◆スパイ問題をめぐりCONCORDは大混乱
ジェネシス、ユーライ発 EDENCOM、CONCORD、そしてアマー帝国に対するユン代表の非難と、これに対するハミデ・カドール女侯の攻撃的な返答を受けて、CONCORDの公開協議は叫び声とブーイングが飛び交う喧嘩騒ぎに発展した。ガレンテ・カルダリ代表団もアマー・ミンマター代表団を引き離そうと騒ぎに加わった結果、混乱に巻き込まれることになった。
協議が打ち切られたあと、ガレンテ連邦のデヴァン・マレート代表は記者団に対して次のように語った。
「先ほどの光景を嘆かわしく思う。CONCORD構成国は理性ある外交と対話を行うべきなのに、あの騒ぎはそうした原則すべてに反するものだった。今日なされた告発と反論は深刻なものであり、その内容は調査されなければならないが、事実関係や問題の技術の扱い方を適切に判断するには、連邦のような中立な第三者こそ適任なのは明らかだ。我が国は今後の議論においてこの点を強調していく」
協議に出席していた(カルダリのインナーサークル代表は代表取締委員会内の輪番制)イシュコネ社のメンス・レッポラCEOは、マレート代表の提案を一笑に付し、「連邦が戦略的に重要なトリグラヴィアン技術の分析・開発にひどく出遅れていることを考えると、この問題における彼らの動機は不明瞭だ」と批判した。アマーがEDENCOMとCONCORDを通じてカルダリにスパイ行為を働いているというミンマターの告発に対しては、「告発の重大性を考慮し、当然ながらこの申し立てを深刻に受け止める。だが、第三者の干渉による偏見を排し、独自調査によって我が国としての結論を出さねばならない」とだけ述べた。
◆四大国の大規模建設プロジェクトつづく
ブラックライズ、オンナモン発 カルダリ連合が2週間前に海軍・義勇軍合同司令部を新設したオンナモン星系において、大規模な建設工事が始まったとの情報が入ってきた。CONCORD/EDENCOMのスパイ疑惑に注目が集まるなか、観測筋はカルダリが「シップキャスター」技術の研究をハイピッチで進めていることを確認しており、プロトタイプの建設も視野に入れている可能性がある。
オンナモン星系における工事開始に先立ち、ガレンテ軍と治安部隊はインタキ星系の防備をさらに強化した。ガレンテは今週、インタキ星系のセキュリティステータスを0.3から0.4に引き上げてCONCORDに登録している。
ガレンテ・カルダリが自国領の防備を強化し、紛争宙域に近い星系の守りを固めているあいだ、アマー・ミンマターも何もしていなかったわけではない。ミンマター共和国は領土解放統合司令部のためにメトロポリスのアモ星系に新たなステーションを建設しており、ステーションはかなり形になってきた。アマーもディボイドのメハトゥア星系にダミウス連合艦隊群の司令部設置を進めており、ミンマターの動きにはアマーに対抗する意味合いもあるようだ。
サースルド戦役とターナー事件以来、四大国は紛争宙域との境界エリアで軍事力と防衛施設の強化を進めており、外交関係は着実に悪化しつつある。識者は星間外交が危機的状況にある原因について、四大国が長年にわたってユーライ合意とCONCORD緊急義勇兵戦争権限法を破りつづけてきたせいだと考えているが、シップキャスター技術スパイ問題が状況を一層悪化させたのは間違いない。四大国の外交官、政治家、そしてエリート層は、今やEDENCOMどころかCONCORDの組織としての在り方に疑問を投げかけ、長期的役割を公然と疑問視している。